「霞ヶ関の構造改革」――。こんな目標を掲げた各省庁で働く20〜30代の若手公務員有志が集まり、2003年秋に新しい霞ヶ関を創る若手の会(NPO法人=特定非営利活動法人= プロジェクトK)を結成した。「K」は、霞が関、公務員、改革といったキーワードの頭文字から取った。
9月には『霞ヶ関維新』を出版、日本再生と霞が関改革の具体策を提言している。この代表を務めているのが、経済産業省でエネルギー政策や経済協力政策を経験した朝比奈一郎氏だ。

東京大学法学部卒業。米ハーバード大大学行政大学院修了(修士号)。1997年、通商産業省(現・経済産業省)に入省。特許庁、内閣官房行革推進事務局(特殊法人等改革推進室)、資源エネルギー庁、独立行政法人日本貿易保険などを経て、現在、貿易経済協力局資金協力課課長補佐。2003年、新しい霞ヶ関を創る若手の会(プロジェクトK)を同志と共に立ち上げる。改革案の実現に向けて様々な活動を展開中。2006年に外務省「世界の中の日本・30人委員会」委員に就任。9月にメンバーと執筆した『霞ヶ関維新』(英治出版)を出版。ほかに、共著で『霞ヶ関構造改革・プロジェクトK』(東洋経済新報社)、『ハーバード・ケネディスクールでは、何をどう教えているか』(英治出版)がある。
(写真:佐藤 ゆみ)
佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 城山三郎氏が書かれた『官僚たちの夏』が再びテレビドラマ化され、大ヒットしています。舞台は池田勇人内閣の「所得倍増計画」で高度経済成長期に入った日本。通商産業省の官僚たちが日本を戦後の発展途上状態から先進国にするために、そして国家に誇りを取り戻すために日々是決戦、といった姿を描いていて、胸が熱くなりました。当時の通産省は、現在の経済産業省です。朝比奈さんは、どういう志を持って官僚という職業を選ばれたのですか。
朝比奈 一郎(以下、朝比奈) 根源的な動機は、中学・高校の頃にさかのぼります。その年頃の青年にありがちな話ですが、「自分の幸せとは何か」「自分って、一体何者なんだろう」と考えることがありました。その時、自分とは実にいろいろな外的なものとの関係に規定されていることに思い至ったんです。
家族と自分、恋人(当時はいませんでしたが・・・)と自分、故郷と自分、国と自分、世界と自分・・・。極端な例えですが、見知らぬ土地で何も持たない状態で放置された場合、「自分は日本国民で、ファミリーネームは朝比奈で・・・」と、外的関係でしか自分のことは説明できない。そうした「自分と○○」という多重的な関係の中で、「どの関係を幸せにすると一番幸せなのか」を考えてみました。
「日本のため」が、身近な人や自分を幸せにする
佐藤 その中でどういう関係を選んだのですか?
朝比奈 「国と自分」でした。日本のために、この国の社会のために働くことが、自分を幸せにすることだと思ったんです。ある意味、非常に自己中心的な考え方かもしれません。そして、その延長として単純に、大学の頃になって就職を考える際、先輩の多くが官僚になっていたこともあり、「国のためというなら、国家公務員というのが分かりやすい」と考えました。具体的には、国内外の治安を守る警察庁か防衛庁(当時)と思っていました。
佐藤 家族は社会の最小単位です。国の最小単位とも言えるかもしれません。国や社会のためになることが、本来は傍にいる人のためになるのでしょうね。いつ頃から経産省、朝比奈さんが入省された時は通産省ですが、ここにしようと思われたのですか。
朝比奈 官庁訪問をする中で、通産省の会う人会う人が、おもしろくて。あと、父が中小企業を経営していたのですが、バブル崩壊と歩調を合わせて事業がうまくいかなくなっていったこともあり、何か中小企業のための政策を作りたいと思ったこともきっかけの1つです。
佐藤 高度経済成長期は自動車やコンピューターなど、成長産業をプロデュースすることが経産省の大きな役割の1つでしたが、現代での経産省の役割とは、どのようなものでしょう。
朝比奈 担当分野としては、通商政策もあれば、特許政策もあり、資源エネルギーもあります。環境を担当する部局もあります。非常に幅広いです。具体の担当分野を超えて、やや抽象的にその役割を私なりに個人的見解として一言でまとめれば、「およそ我が国の経済に関することについて、許認可権限というよりは、新たな発想・アイデアに基づいて、様々な具体的提案をして実現させる場所」ということでしょうか。
「霞ヶ関構造改革」を訴えた理由
佐藤 実際に働いてみて、経産省はいかがでしたか。『官僚たちの夏』のような熱い使命感をお持ちの方は多いのでしょうか。
朝比奈 かつて「通商産業省」に引っかけて、「通常残業省」などと揶揄されたこともありました。ミッションのためには生活の犠牲も厭わないという、士気はかなり高い役所だと思います。言われたことだけをやるというよりは、自分なりの価値観を持って動いている人が多い気がします。ただ、経産省も含め、霞が関一般については、使命感云々とは別に、閉塞感も漂っていることは事実だと思います。
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政治アナリスト、マナー・礼法講師。札幌市出身。米国ルイス&クラーク大学留学、政治学・国際関係を学ぶ。帰国後、総合広告代理店にプランナーとして勤務。その後、衆議院選に出馬。政策担当秘書として国会議員の各種政策立案に携わる。現在、







