鳩山首相が国連で、日本は温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減すると表明した。地球温暖化交渉の現実を知っている人々は唖然とし、EUなどは「しめしめ」と思ったはずである。
日本は京都議定書にもとづいて2008年から2012年の「第1約束期間」に1990年比で6%の温室効果ガス削減義務を負っている。EUは同8%の削減、米国は議定書から離脱した。
京都議定書はEUと米国にしてやられた不平等条約
京都議定書は、日本がEUと米国にしてやられた不平等条約であることは関係者の誰もが知っている。そもそも1997年12月に開催された京都会議において、1990年を基準年とするのは奇妙なことだ。会議では、直近の1995年を基準年とすべきという議論があったにもかかわらず、EUが1990年を強硬に主張して押し通してしまったのだ。
EUが1990年をごり押しした理由は、EU15カ国のうち、排出量の1位と2位を占めるドイツと英国(2国でEU全体の47%)は、会議が行われた時点で1990年に比べ、排出量がそれぞれ19%と13%すでに減っていたのだ。ドイツは1990年時点では東西統一を果たしたばかりで、旧東ドイツの省エネレベルが低く、英国は1990年代に入って発電用燃料を二酸化炭素排出量が多い石炭からクリーンエネルギーの天然ガスに切り替えていたからだ。
一方、自分たちは7%の削減をするからといって日本に6%を呑ませた米国は、土壇場で議定書を離脱して日本の梯子を外した。クリントン大統領は京都議定書に署名したが、上院で多数を占める共和党に批准を否決されることは当然予想していたはずだ(その後、2001年にブッシュ大統領が署名そのものを撤回した)。
日本は会議の開催国だったので、面子のために何が何でも調印ありきで、無理を承知で6%削減を約束してしまった。これは国民に大きなツケを負わせ、実に高価な「ネーミング・ライツ(命名権料)」になった。当時の首相は橋本龍太郎、外務大臣は小渕恵三で、この2人に責任を取ってもらいたいところだが、2人ともいまや墓の下である。
すでにタオルを絞り切っていた日本
第1約束期間の6%削減を達成するために、電力会社をはじめとする民間企業は相当な努力をしてきた。しかし、温室効果ガスの排出量は減るどころか、2007年の時点で、逆に9%増えているのである。そのため日本は海外から排出権(排出枠)を政府・民間合計で4億トン買わなくてはならないと推計されている(世界銀行の報告書「State and Trends of the Carbon Market 2009」による)。
すでに日本政府はチェコやウクライナなどから排出権を買い付け、電力会社などの民間企業は中国、ブラジル、インドなどから買い付けている。排出権の価格は変動が激しく、過去、トン当たり8ユーロから30ユーロ程度の間で推移してきた。仮にトン当たり15ユーロ(約2000円)で買い付けるとすれば、8000億円の国民負担になる。第1約束期間の最大の負け組は日本であると言って間違いない。
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