鳩山由紀夫政権は10月末、介護政策に関して1つの決断を迫られる。タイが経済連携協定(EPA)交渉で日本に求めている介護士の受け入れを、認めるのかどうか、という問題だ。
すでに日本は、EPAを通じインドネシアとフィリピンから介護士・看護師の受け入れを始めている。2年間でインドネシアから介護士600人、看護師400人、フィリピンとも同じ数の介護士、看護師を受け入れることで合意済みだ。
大幅に下回る
しかし、両国から初年度に来日した人材は予定数を大幅に下回っている。昨年8月、インドネシアから初めて来日した介護士・看護師の数は合わせて約200人と、予定した500人の半分以下。今年5月に受け入れたフィリピン人介護士・看護師も300人以下と、やはり定数に遠く及ばなかった。
この11月にはインドネシアから第2陣の受け入れが予定されている。しかし、今回も定数割れが起きるのは確実、と見られる。実際に、外国人の介護士や看護師を採用する施設や病院が見つからないのだ。このままでは、国家間の約束が果たせない状況である。
雇用情勢が悪化している現在でも、介護・看護の現場での働き手不足は解消していない。とりわけ介護現場の状況は深刻で、5年後の2014年には40万〜50万人の介護スタッフが足りなくなる。そうした中、外国人介護士の採用に関心を寄せる施設は少なくない。にもかかわらず、その採用を見送る施設が続出した。政府が定めた受け入れ条件が、施設側にとって厳しすぎるからだ。
1人につき60万円近く負担を強いられる
受け入れ施設は、斡旋手数料や日本語研修費として介護士ら1人につき60万円近い負担を強いられる。しかも、日本語研修は半年間に限られるため、即戦力として仕事をすることは難しい。それでも賃金は、日本人と同等に支払う義務がある。
外国人介護士は仕事を始めて3年後、「介護福祉士」の国家試験を日本語で受け、一発で合格しなければ母国へ帰国しなければならない。日本人であれば、介護福祉士の資格などなくても介護の現場で働ける。そんな資格の取得が、外国人の限って課されるのだ。
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