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中国建国60周年記念、鳴り響く祖国愛の歌に思う

2009年10月5日(月)

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 2009年10月1日、中国は建国60周年記念を迎えた。毎年の国慶節と違い、今年は60周年記念だけあって、中国政府の力の入れようも尋常ではない。日本では軍事パレードと呼ばれている天安門広場における閲兵式もかつてない規模とレベルで、50数種類の中国国産新兵器が国家主席で中央軍事委員会主席でもある胡錦濤の閲兵を受けた。

 陸軍、海軍、空軍、そして武装警察部隊や民兵等までが閲兵を受けた中、私を複雑な気持ちにさせたのは、射程1万キロを超えてアメリカにまで届くという大陸間弾道ミサイルが公開されたことと、軍事パレードの終わりの方で東31甲核弾道ミサイルが堂々と行進したことだ。

 小学生や中学生を含めた青少年による花文字では、「服務人民」、「献身使命」、「報效国家」などに交じって「聴党指導」と「忠誠于党」などが(すべて簡体字で)あった。「聴党指導」とは、直訳的には「党の指導を聴こう」だが、意訳すれば「党の指導の通りにしよう」ということになる。「社会主義好!」(社会主義はすばらしい)や「中国共産党万歳!」くらいならまだ分かるが、「党の指導の通りにしよう」とまでなると、やはり抵抗を感ぜずにはいられない。汚職や賄賂にまみれながら特権を乱用しているのは共産党幹部だからだ。

 そうした、普段なら抵抗のあるはずの言葉なのだが、この日天安門広場に集まっている30万に及ぶ参加者には感動しか与えていない様子だった。

 なにしろ2008年の北京オリンピックが終わった後、中国はこの一瞬を迎えるために、あらゆる準備をしてきたのだから。

繰り返される精神高揚の番組

 花文字を描く8万人に及ぶ小学生や中学生たちは9時間以上の祝典参加のために、トイレに行く時間さえ何カ月も前から訓練したし、地下鉄や大きなホテルなどでも、北京オリンピック以来のX線安全検査を緩めたことがない。閲兵式で人民解放軍が持つ武器にさえ、兵士がテロ行動を起こさないようにITを駆使した検査体制が工夫され、祝賀式典に参加する人もまた一人残らず空港並みの安全検査を天安門広場の入り口で受ける。

 9月1日からは祝賀ムードを盛り上げるために330万株の花が北京に運び込まれて、天安門につながる長安街18か所を華麗に飾った。中国の他の都市も60周年記念を祝賀するためのモニュメントの壮大さを競い、それがテレビで放映されてさらに競争を煽った。

 それら一連の祝賀ムードの中で、特に私が注目したのは、テレビにおける精神高揚である。

 私がまだ小学生だった1950年代初期、中国では「歌唱祖国」という歌が出てきて、毎日、その歌を歌わせられたものだ。

――五星紅旗が風を受けて輝かしくたなびき、勝利の声が高らかに響き渡る。
われわれの親愛なる祖国がこれから繁栄と富強の道を歩んでいくことを
高らかに歌おうではないか。

といった趣旨の歌詞である。

 まだ貧乏で、生まれたばかりの中華人民共和国においてさえ、この歌を歌わせられたときは、子供心にも何とも誇らしい高揚感を抱き、「祖国、中国は人類で最も輝かしい国なのだ」という思いに誘(いざな)われたものだ。

 その中国は今や経済成長においても世界の一、二位を争うような存在になっている。オリンピックも開催した。日本の国民の血税が回り回って注がれているかもしれない軍事力にも凄まじいものがある。若者たちはネットで「もしいま、中国に戦争を仕掛けてくる勇気を持つ国があったら、仕掛けてくるといい。おもしろいじゃないか!」と、驕りとも言えるほどの過剰な自信を誇示している。

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「中国建国60周年記念、鳴り響く祖国愛の歌に思う」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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