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金融ビジネスが様変わりする

「消費者視点」の取り込みが金融機関生き残りのカギ

  • 井出 一仁

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2009年10月19日(月)

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 2008年に起こった金融危機とそれに続く世界規模の経済危機、そして今年9月の日本での政権交代。金融ビジネスを取り巻く環境は1年余りで様変わりした。

 そうした中、金融安定化のための各種方策と並んで今後の金融政策の柱の一つになるのが、「消費者保護」の視点である。金融庁が金融商品取引業者などに対する監督指針として「顧客保護と利用者利便の向上」を掲げたほか、9月の消費者庁設置に続いて、金融ADR(裁判外紛争解決制度)の施行なども控えている。

 消費者保護の視点は金融ビジネスにどのような影響を及ぼすのか。金融機関はこの流れにどのように向き合うべきなのか。金融庁をはじめ数多くの省庁の審議会や研究会で法学者・弁護士として政策論議に参加している中央大学法科大学院の野村修也教授に聞いた。

(聞き手は日経BP社 井出 一仁)

――金融機関は今後、消費者保護の潮流に十分に配慮すべきと注意を促していますね。

野村 修也(のむら・しゅうや)氏
中央大学法科大学院 教授
森・濱田松本法律事務所 弁護士

1981年函館ラ・サール高等学校卒業、85年中央大学法学部卒業、87年中央大学大学院法学研究科博士前期課程修了。89年西南学院大学法学部専任講師に就任。同大助教授を経て、98年中央大学法学部教授、2004年から現職。厚生労働省・年金記録問題に関する特別チーム室長など、金融庁、法務省、総務省、内閣府、内閣官房、環境省、厚生労働省、国土交通省などの公職を多数務める。金融分野の主な公職は、金融庁・保険の基本問題に関するワーキンググループ座長代理、同・決済に関する研究会メンバー、同・公認会計士・監査審査会法令等遵守調査室長、同・金融審議会委員など。主な著書に『年金被害者を救え---消えた年金記録の解決策』(岩波書店)など。

 野村 修也 これまで金融機関は、主に金融庁の規制・業法・監督指針・検査の方を向いていました。民事トラブルを経営上の主要なリスクに位置づけてこなかったわけで、消費者視点への備えが十分とは言えません。

 しかし、金融ビジネスを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。金融商品販売法や貸金業法を金融庁と共管する消費者庁が設置され、1年半後をめどに金融ADRも施行されます。これらの施策は、以前なら消費者が泣き寝入りしていた民事上のトラブルを顕在化させる可能性があります。

 金融ビジネスはこれまで金融庁のお墨付きを得ていればOKでしたが、これからは消費者目線に立った業務の点検が急務になります。消費者目線重視の傾向は、民主党への政権交代もあって、いっそう厳しくなるはずです。

――政策として消費者保護の視点が台頭してきた背景には、何があるのでしょうか。

 野村 消費者視点は、社会が成熟してきた証しです。単なる「はやり・すたり」ではありません。社会構造の変化に組み込まれた潮流であることを、金融機関など企業は正しく理解すべきでしょう。金融危機などがあっても,この流れが急変することはないはずです。

 まず、社会の「高齢化」が挙げられます。日本だけでなく、世界でも同様です。長寿化によって、退職後も元気な人たちが増え、セカンドライフを真剣に考えるようになりました。社会への問題意識が高かった人がビジネスマンとして成果を上げ引退し始めたのが、現在の情勢です。

 こうした高齢者の中に富裕層が現れ、株主総会に株主としても登場してきました。彼らは企業のあり方に疑問をぶつけてくる存在であり、CSR(企業の社会的責任)が経営の重要課題の1つになりました。企業はもうけるために経費を削るだけではダメで、株主の期待に応え消費者から一定の信頼を得ないと、事業継続性を確保できなくなっています。

 もう1つは、消費者の経験と知識が豊かになったことです。顧客満足度を高めないと商品は売れません。パワーを持った消費者は、企業に対し集団で消費者視点をぶつけてきます。さらにパワーの裏付けとして政治の力もあります。狭い範囲から議員を選ぶ小選挙区制が導入された結果、顔が見える選挙運動の重要性が高まり、経験豊かな消費者はタウンミーティングなどで政治家に物を言える機会を手にしました。政治家や政党が動けば、それが行政のテーマになっていきます。

――行政だけでなく司法の面でも変化が起こっているように見えます。

 野村 このところ消費者を守る判決が相次いでいます。金融関連では、貸金業のグレーゾーン金利を違法とした最高裁判決が代表的です。ほかにも、賃貸マンションの更新料訴訟で大阪高裁が貸主に返還を命じた逆転判決、薬害エイズ事件で非加熱製剤に関する厚生官僚の不作為を有罪とした判決の上告棄却、大和都市管財事件で詐欺的行為を近畿財務局が放置したことに対する国家賠償の認定などがあります。

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