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昔、2番目は八郎潟だった

秋田県大潟村が体現する「垂直」から「水平」(その1)

2009年10月19日(月)

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 仕事柄、クルマで国内を移動する機会が多い。

 道すがら風景を見続ける。

 どこの国の風景もそれぞれに個性的だが、日本の風景もまた日本に特殊だ。

 そして、これもどの国の国民も同じだろうが、母国の風景は「発見」しにくい。そこに生まれ育っていると慣れてしまって、風景を意識すらできないのだ。風景の特徴に改めて気づくには、きっかけが必要になる。

 今回のきっかけとなったのは、農業が揺らいでいる、そんな情報を得たことだった。

変わる水田の光景は何を意味するのか

 改めて車窓に流れる景色を省みる。平野には昔ながらの水田の光景が広がり、初夏には一面が緑に映え、秋になると重たそうに金色の稲穂が垂れる。

 熱帯原産のコメを、長く時間をかけた品種改良の結果、日本人は北海道のほぼ全域に至るまで耕作可能にしてきた。こうした長く、深い関わりを思えば、コメに日本人のアイデンティティーの一部を帰属させたくなる気持ちも分かる。

 ところが、そんな景色の中に、突如、巨大なショッピングモールが現れる。その場所にもかつては豊かな水田が広がっていたはずだ。むしろ水田にしておけば効率よく耕せるだろう、広く平らな土地がショッピングモールになっているケースも多い。

 一方で眼を凝らせば、周囲は水田なのに耕作されずに放置されている田んぼが混じっているのに気づくことも多い。中にも水田があったであろう場所が、産業廃棄物置き場に変わっていることもある。

 こうした風景はコメを巡る状況が変わりつつある現れだ。

 「日本農業の最大の生産物は農地である」

 明治学院大学教授で農業経済学者の神門善久は授業で冗談めかして、こう言うのだという(『日本の食と農』)。

 何かを作って売るよりも農地を売るのが一番儲かる商売になる、神門の言葉はそんな状況を指摘する。水田風景の中に忽然と現れるショッピングセンターも産業廃棄地物処理地も、農地が転用・換金された結果の風景なのだ。

 コメ余りへの対応、コメ価格の維持を目的として、日本政府は長く減反政策を取ってきた。農地が金の成る木になったのは、その政策と間違いなく関係がある。水田を所有しているが、その一部分を減反してコメ以外に転作すればまずは奨励金が出る。

 その際、何に転作するかは厳しく問われないので、楽をしようと思えば、例えばコスモスなどの種でも蒔いておけばいい。『農林業センサス』のデータから推測すると、日本にある285万戸の農家のうち農業所得を重視する「農家らしい農家」は30万戸に過ぎないだろうと言われる。そして農家としてカウントされていないが、農地を持っている世帯が120万戸あり、その多くがそれを小作に出しているか耕作放棄しているそうだ(養老孟司、竹村光太郎との鼎談集『本質を見抜く力』での神門の発言より)。

 こうした実質的に農業をしない農家の存在が許容されてきたのは、第1次産業従事者を重要な票田とみなし、零細農家の反発を恐れて過剰な保護政策を自民党政権が取ってきた経緯と無関係ではない。神門によれば、農業委員会やJA(全国農業協同組合連合会)は農業しない農家まで守る保護政策のシステムに組み込まれて機能してきたという。

 このように、日本の農業保護政策は、農業よりも農家の利益を守るものとして変形されてきたという説がある。そうだとすると、より多くの利益が得られる方向に進む道が用意されるなら、それを選ばずに留まることは難しくなる。

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