「時事深層」

「妖怪」が地方を救う

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2009年10月16日(金)

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日本一人口が少ない鳥取県。その一地方都市で、あるファンドが誕生する。活性化の新たな試みは、大都市との経済格差を解消するか。

 「妖怪ファンド」――。10月中にも、こんな名称のファンドが立ち上がる。目的は、鳥取県境港市の経済活性化。同市出身の水木しげる氏が生み出した『ゲゲゲの鬼太郎』などの妖怪を、ビジネスに仕立てる資金を集める。

 妖怪ビジネスの第1弾となるのが、来年2〜3月の発売を計画している「妖怪グッズ」の製作・販売だ。と言っても、Tシャツやコーヒーカップなどに主要キャラクターを描いたお土産グッズとは、ひと味違う。

『ゲゲゲの鬼太郎』など妖怪グッズ

 その象徴的な商品がダルマ(下図)。日本人にはお馴染みの形状に合わせて、鬼太郎や目玉おやじ、ねずみ男といったキャラクターをデザインしている。大きさは10〜15cmで、価格は1体3000円程度の見込みだ。

本邦初公開、ダルマのデザイン図。左から、猫娘、ねずみ男、鬼太郎、目玉おやじ
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 デザインしたのは、米経済誌「ニューズウィーク」で2006年に「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた国際的に著名なデザイナー佐藤オオキ氏を擁するデザイン会社nendo(東京都目黒区)。製作するのはデザイン家具の製造小売りであるイデアインターナショナルだ。もちろん、水木プロダクションも公認している。

 順次、ラインアップを増やしていき、最終的には130体以上を“ダルマ化”する。この妖怪グッズ販売を、境港市に人を呼び込むツールにする。

 この取り組みは、境港市の振興にとどまる話ではない。というのも、ダルマはすべて職人による手作りだからだ。「伝統工芸の職人は技術があっても、何を作ればいいのかというアイデアがないために、収入を確保できていない」と、イデアの橋本雅治社長は現状の問題点を指摘する。

 今回、イデアではダルマの製造を請け負う産地を開拓、伝統工芸の事業機会の創出も目論む。さらに「和紙や織物、セラミックなど日本固有の技術を生かしたグッズを開発したい」(橋本社長)と意気込む。

1口3万〜5万円を個人から

 このプロジェクトを実現する資金を提供するのが、妖怪ファンドというわけだ。事業主体となるのは、個人向けファンド運営会社のミュージックセキュリティーズ(東京都千代田区)。音楽CDや日本酒製造の分野で実績を持つ。妖怪ファンドも、境港市民や鬼太郎ファンといった個人を対象に資金を募る。「1口3万〜5万円として、3000万円ぐらいは集めたい」と小松真実社長は話す。

 もともと妖怪ファンドは、小松社長と独立系投信運用会社のレオス・キャピタルワークス(東京都千代田区)の藤野英人取締役らが中心となって構想を練った。今年春以降、数回にわたって境港市に足を運び、現地を見学したり、地元の自治体や経営者と意見交換したりしてきた。

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