日本航空の再建策に注目が集まる中、同社経営陣が大物OBと顧問契約を結んだ。一方、国交相直轄の専門家らは独自再建策を作成、「国際線を全日空へ譲渡」も視野に。国交相や官僚、専門家による救済策を、日航の意を受けた大物OBはどう巻き返すのか。
作家・山崎豊子の名作『沈まぬ太陽』が今月、渡辺謙主演で映画公開される。
1980年代の日航機の墜落を描いたベストセラーで、なぜ今さらとの声もあったが、ここにきて俄然注目を集めている。映画公開は10月24日。ちょうどその頃、小説のモデルとされる日本航空(JAL)の債務免除や資本増強、大幅な人員削減などを柱とする再建計画の骨格が決まるからだ。
「タイミングが良すぎる」と航空業界関係者は言う。そこには別の理由もある。
原作・映画では「国民航空」の労働組合潰しのため労使協調路線の第2組合が誕生、幹部が厚遇される様子が描かれている。「同じような現実が当時の日航にあった」と日航OBは言う。
JALが選んだ顧問契約の相手
モデルとなったのは全日本航空労働組合(現JAL労働組合)。そして今、この組合設立当初の幹部に、日航の経営陣が一縷の望みを託している。「『沈まぬ太陽』に出てきそうな人物が、今、再び日航再建に一役買おうとしている」(航空業界関係者)というのだ。
10月1日、日航は同社OBの名井博明氏と顧問契約を結んだ。
名井氏は全日本航空労働組合で執行委員を務めた後、87年、連合政策局長に就任した。「そこで頭角を現し、連合前会長の高木剛氏らと深い関係を築いた」(日航関係者)。95年には日航の長崎支店長となり、2000年に日航商事(現JALUX)に転じている。
障害者団体の定期刊行物に適用される郵便割引制度を悪用する問題を起こした印刷中堅「ウイルコ」の社長に今年1月に就任。しかし1年も経たない今年9月14日、同社の定例取締役会で辞任を申し出た。理由は「一身上の都合」としか説明しなかったが、過去のキャリアを生かして古巣のピンチに立ち向かうことにしたと見られる。
「経営陣はパイプの薄い民主党対策として、同党の支持基盤である連合に人脈を持つ名井氏に白羽の矢を立てた」(日航関係者)と言うが、ここにきてその存在感は高まる気配がある。
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