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日本は昔も今も、自給自足性が低い

【第5回】外務省 菊地信之氏《後編》

  • 佐藤 ゆみ

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2009年10月26日(月)

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前回は、複雑な国際関係において外交で接点を見いだすヒントとして「歴史」と「地理」というキーワードを、外務省の菊地信之氏は挙げた。今回は、安全保障のグランドストラテジー、資源外交、核廃絶、そして日米関係や東アジア共同体といった日本が抱える外交のテーマについて、存分に語ってもらった。

佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 安全保障の話をしたいと思います。歴史と地理から紐解くと、日本の安全保障のためのグランドストラテジーとは何ですか?

菊地 信之(以下、菊地) 随分、難しい大問題ですね(笑)。全くの私見でいいですか?

佐藤 ええ、もちろん。ぜひ聞かせて下さい。

菊地 信之(きくち・のぶゆき)氏
1973年生まれ。早稲田政治経済学部卒業。1999年、外務省入省、中近東第一課に配属。3年間のエジプト・カイロ研修後、カイロ大学政治経済学部政治学科修士課程留学。2003年、カナダ・ケベックに仏語短期留学後、米イェール大学歴史学部修士課程留学。ポール・ケネディ教授に師事。2004年より3年間、在サウジアラビア王国日本国大使館勤務。政務などを担当。2007年より3年間、外務省地球環境課にて多国間環境条約の交渉、G8(主要8カ国首脳会議)の水問題への取り組みなどに携わる。2009年4月より、外務省大臣官房総務課課長補。
(写真:佐藤ゆみ)

菊地 日本がグランドストラテジーをもってして実現すべきものは、戦略論のセオリーに従えば「日本の安全」と「繁栄」です。セオリーでは、それら2つのものと並んで、特定の価値の実現が挙げられることもあります。例えば、米国にとっての自由民主主義、ソ連にとっての共産主義といったものです。

 日本の場合、日本として独自の価値を有する立派な国家であるとは思いますが、それら価値はおおむね、日本人の生活や伝統の中にそこはかとなく息づくものであり、またそのようなあり様を日本人は心地よく感じてきたということもあると思います。ですので、まずは安全と繁栄に絞って考えます。

 しかし、日本がグランドストラテジーをもってして実現すべき大目標が、日本の安全と繁栄であるというのは、あまりに当たり前過ぎて、ほぼ何も言っていないに等しいとも言えます。

脆弱性をどう克服していくか

佐藤 自国の安全や繁栄を追求しない国家などないでしょう。もう少しブレイクダウンしてみると?

菊地 まず、日本の地理的な位置から考えます。日本列島は、東西に長く伸び、ユーラシア東北部から太平洋への出入口を塞いでいます。そのユーラシア東北部には、ごく大雑把に言えば中国と極東ロシアという近世以来の領土大国があり、朝鮮半島がその間を画し、ある種の緩衝地帯として機能しています。東方は太平洋が広がっており、広大な太平洋を隔てつつ、米国が東の隣国となります。冷戦中は、ソ連の太平洋への進出を防ぐ位置にありましたので、その戦略的重要性はとても高いものでした。

佐藤 現在でも重要性は高いのでしょうか?

菊地 中国の海洋への進出などの文脈では、依然、日本列島はグローバルな戦略的重要性を維持しえると言えます。

 日本の防衛という観点から見れば、朝鮮半島に敵対的でない主体が独立を維持していることが、地政学上とても重要です。日清戦争も日露戦争も、朝鮮半島がユーラシア大陸の大国の勢力圏下に入ってしまいそうな時に起こったものです。

 仮に朝鮮半島が敵対的な勢力の圏内になったとしても、即座に日本の独立が侵されるわけではありません。しかし、そうなれば2回目の元寇の際のように北九州を要塞化するということで対応するのでしょう。ですが、そうなると政治経済双方においてに自由主義の後退を余儀なくされ、国内体制の変容は免れないでしょうし、武力を背景とした政治的な圧力に直面することになるでしょう。

佐藤 敵対的でない国の独立が重要ということは、ユーラシアを見た場合、現在の日本や北朝鮮、韓国は中国や米国にとって重要な位置にあるわけですね。日本からすると北朝鮮・韓国の動きがとても影響してくると。鳩山由紀夫総理が米国を訪問した後、韓国、中国に行かれたのもそういった事情からでしょうか。

菊地 日本外交を、隣国であり戦略的に重要な位置を占める朝鮮半島、対中、対米関係からスタートするというのは、どの政権にとっても自然なことでしょうね。

 戦略的要衝というのは、関係国の戦略的関心も高くなりますから、その防衛には注意を怠ってはいけないと思います。その点から、日本外交の舵取りは慎重にならざるを得ないでしょうが、日本の対外政策の舵取りを難しくしているのはそれではありません。つまり、近代以降の日本は、大きな領土を要する大陸の国々と比べて、実に戦略的に脆弱な存在であるといえます。日本のグランドストラテジーとは、まさにこの脆弱性をいかに克服するかということでもあると考えています。

佐藤 脆弱性とは?

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