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2009年11月4日(水)

官僚OBだけじゃない、物議を醸す日本郵政人事

連立政権の「改革見直し」に波乱を招く恐れも

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 亀井静香金融・郵政改革担当大臣の“亀の一声”で決まった日本郵政の新経営陣――。小沢一郎・民主党幹事長との長年の緊密ぶりで知られる斎藤次郎・元大蔵事務次官(前東京金融取引所社長)の社長起用など、官僚OBの大量復活が今なお波紋を広げている中、一部で物議を醸している民間人の起用人事がある。

 ひそかに注目されているのは、取締役兼代表執行役副社長に就任した高井俊成氏(63歳)。日本郵政グループの最重要子会社であるゆうちょ銀行のトップになることが有力視されている人物でもある。

 日本郵政が用意した経歴書によると、高井氏の足跡はこんな具合だ。

 東京大学卒業後、日本長期信用銀行に入行、池袋支店長や取締役福岡支店長などを歴任、1998年に常務執行役員に就任。長銀破綻後は2001年にコンサルティング会社「バリュークリエーション」の社長を務めるなどし、直前は個人で「高井経営研究所」を主宰していた。バリュークリエーションは、安田隆夫ドン・キホーテ会長ら新興企業経営者の集まりである「日本ベンチャー協議会」と密接な関係にあった会社として知られる。

 高井氏を知る関係者によれば、同氏の政界人脈としては鳩山邦夫・自民党衆議院議員と長年の交際があるようだ。鳩山議員といえば、総務大臣として郵政改革に異議を申し立て、現首相の実弟でもあるという特異な立ち位置にある政治家。亀井大臣や斎藤新社長がなぜ高井氏に白羽の矢を立てたのかはつまびらかでないが、そのあたりの人脈が微妙に働いた可能性はありそうだ。

有名な経済事件と関わる脇の甘さ

 さて、ここからが問題なのだが、実は高井氏には公式の経歴書には記載されていない役員歴がいくつかある。しかも、それらは有名な経済事件の周辺にあった会社だから看過することができない。

 問題企業の1つは2004年に摘発された駿河屋(元東証・大証2部)を舞台とする架空増資事件に登場した投資関連会社の「飯倉ホールディングス」である。高井氏は2003年3月に同社の取締役に就任、翌年8月までの約1年半にわたり、その職にあった。

 飯倉ホールディングスは駿河屋事件の主犯格である上田高嗣・元同社社長が東京都内で経営する会社だった。上田元社長は2003年6月、経営難に苦しむ駿河屋に接近、増資を持ち掛けた。しかし、実際のところ、上田元社長の手元に払込資金はなかった。

 2003年12月、駿河屋は上田元社長の指図の下、11億円余りの増資を実施したが、次のような巧妙な仕掛けにより増資金の大半は還流していた。上田元社長は見せ金として知人の風俗業経営者から資金を工面するなどし、いったんはそれを駿河屋に払い込んだ。しかし、直後に飯倉ホールディングスの傘下にあった中華料理店を駿河屋に買い取らせるなどして増資金のすべてを手元に回収していたのである。結果、上田元社長は一切の出費なしに駿河屋の新株を大量に取得、街金などに持ち込んで現金化していた。

 関係者によれば、高井氏は元バリュークリエーション役員の紹介により飯倉ホールディングスの取締役に就任したという。その直前に高井氏はバリュークリエーションの社長を退任していた。関係者は高井氏退任の真相について「仕事ができなかったから辞めてもらった」と言い放ち、経営者としての能力について手厳しい見方を示す。

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著者プロフィール

高橋 篤史(たかはし・あつし)

ジャーナリスト。1968年愛知県生まれ。93年早稲田大学教育学部卒業。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て、2009年よりフリーランスのジャーナリスト。著書に『ドキュメント ゼネコン自壊』『粉飾の論理』(いずれも東洋経済新報社)がある。


このコラムについて

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日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、NBonline編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

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