つぶれやすい食べ物もつまめるロボットの手が生まれた。人工の骨と筋肉、腱そして外皮を駆使して、微妙に調整された握力で複雑な形状の物を取り扱う。機構の工夫で事前のプログラミング作業を減らし、臨機応変に作業できる能力を高めた。
「ロボットハンドです」と差し出された装置は、まるで生きた人間の手だ。手相やしわとしわの間で盛り上がる肉、血管の赤みまでが表現されており、見る者をぞっとさせるほどだ。このロボットハンドを開発しているのがベンチャーのスキューズ(京都市)。同志社大学の研究室と共同で、ロボットハンドの開発を続けてきた。
度肝を抜かれるのは、見た目だけではない。ロボットの“手”と握手すると、人間とするような自然な感触がある。差し出された手を握り返そうとすると、ロボットの指は相手の手の形に沿うように曲がる。握力は強すぎることも、弱すぎて物足りなさを感じることもない。
握る強さを臨機応変に調整
スキューズのロボットハンドは、文字通り手首より下の手となる。物体を「つかむ」「つまむ」といった動作が可能だ。腕の動きをする既存のロボットに取りつけて使用する。最大の特徴は大きさや形が異なる物体をつまんだりつかんだりする際に、事前にどれだけの力で握るかを入力する必要がないことだ。
手や指をどのように動かすかは事前の設定が必要だが、物体の重さや形状に合わせて臨機応変に、つかみやつまみができる。まるで人間と握手を交わしたような印象を受けるのも、一つひとつ微妙に異なる大きさや形をした手に合わせて、適切なところまで指を曲げているためだ。
スキューズは人間が手を動かす仕組みを簡素化して、人工的な装置で器官の代わりをさせる。人は筋肉を伸縮させることで、筋肉と腱でつながっている骨を引っ張ったり、押し返したりする。ロボットハンドはこの筋肉と腱、骨の関係を利用した。
スキューズは骨に当たる骨格を樹脂で作り、その骨格に筋肉の役割を果たす空気圧アクチュエーターを22個配置している。アクチュエーターは空気を入れると伸縮する風船のようなもので、それをネットで包んだ細長い丸い装置である。ネットは編み方に工夫を凝らし、長辺方向に伸びる。アクチュエーターと骨格は、ステンレスワイヤ製の腱でつながっている。
ロボットハンドが物体をつかむ動きを見てみよう。まず、手の内側のアクチュエーターに空気が入ると膨張し、長辺の長さが短くなる。長辺が短くなれば、腱を引っ張り、腱につながっている指も曲がる。
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