前回のコラムで元大蔵省(現財務省)事務次官、斎藤次郎が日本郵政社長に就任した人事を「仰天人事」と記した。それからわずか数日して、さらに驚かされる人事が同じ日本郵政で起こった。
同社副社長の1人に、大蔵省OBで前内閣官房副長官補の坂篤郎が選ばれたのである。また1人、財務官僚が鳩山政権の中枢を占めることになった。
鳩山政権のうたい文句は「政治主導」。天下りを含めた脱官僚が全面に打ち出された。しかし、政権発足直後から何度となく指摘してきた通り、政権公約には例外が存在していた。財務省であり、OBを含めた財務官僚たちだ。
脱官僚といいながら、官僚OBらを積極的に登用する鳩山政権。その矛盾に批判が日増しに強まっている。
将来国民の税金が投入されるような事態を招かないか
官僚と名がつくだけで蛇蝎のごとく嫌うことこそおかしな話である。官僚OBとてその人事が規制緩和をもたらし、新たな産業、サービスを生み出すならば結構なことだ。
また、市町村レベルまで隈なく侵食されている行政のムダを洗い出すのに必要ならば、官僚であろうと、官僚OBであろうと積極的に採用すればいい。
果たして、坂の人事はそうした人事だったのだろうか。
斎藤、坂と大物大蔵官僚を経営陣に据えた日本郵政が民営化の趣旨に則った金融サービスを提供する企業に本当に脱皮できるのだろうか? 時計の針を戻し、将来国民の税金が投入されるような事態を招くことはないのだろうか? 民営化路線は堅持されるのか――?
こんな単純なことさえも疑問に思ってしまうのはなぜなのだろうか?
まるで昭和20年代にタイムスリップ
金融・郵政改革担当大臣、亀井静香は『私が小泉・竹中政治を終わらせる!』と銘打たれたある月刊誌のインタビューで、“新たな”郵政事業を次のように語っている。
「郵政は地域社会に根ざしたものでなければならない。どんな離島、山の中にでもあるネットワーク、それが郵政だ。郵政をテコにして、地域経済、地域社会、ひいては日本全体を活性化していくのだ。これは新しい郵政事業となる」(『月刊日本』11月号)
まるで昭和20年代にタイムスリップしたような話だ。
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