DVDレコーダーなどの光ピックアップ部品で世界シェア30%を誇る。亜鉛ダイカストの鋳造技術で多業種から引っ張りだこだ。自動車業界にぶら下がった企業が、一念発起で系列の壁を破った。
2006年初夏、宮城県石巻市にある中小企業の堀尾製作所に、韓国サムスン電子系列の電子部品メーカーから問い合わせの電話が入った。「この部品を作っているのは堀尾だろう? うちにも供給してほしい。明日そちらに向かう」と口早に話して電話を切り、翌日韓国からやってきた。
堀尾は、亜鉛ダイカスト分野で「東洋一」とも称される細かい加工技術を持つ企業で、海外企業からのこのような問い合わせも少なくない。
ダイカストとは鋳造法の1つで、砂で作った型に溶かした金属を流して毎回型を壊す鋳造とは違い、溶かした金属を金型に流し込み、圧力をかけて成型する加工法だ。
経済産業省の調べによると、ダイカストに用いられる合金はアルミニウムが96.7%とほとんどを占める(2008年実績)。一方、亜鉛合金は2.8%と少量だ。その理由は、亜鉛はアルミよりも比重が倍近く重く、「軽薄短小」の製品開発が続く現代では不向きとされるため。だが、薄肉で精密な寸法を得られるという利点があるうえ、素材価格がアルミよりも安く需要はある。
自動車部品3万点のうち、およそ1万点がダイカスト部品だと言われる。軽量なアルミを使ったダイカストが多勢を占めるが、形状が複雑なうえ寸法精度が高い加工が困難な部品などは亜鉛ダイカストを用いることが多い。
DVDレコーダーで世界シェア30%
堀尾の製品は自動車業界でいえば国内の大手だけでなく、独BMWや独フォルクスワーゲンといった海外企業のクルマにも採用されている。
自動車向けだけではない。ブルーレイ・ディスクやDVDなどのディスク上の情報をレーザーで読み取る光ピックアップ部品にも、堀尾の亜鉛ダイカストが多く用いられている。
レーザー光の反射で情報を読み取るため、その光源と受光部にズレが生じればきちんと情報を読み取れなくなってしまう。両部品をしっかりと固定するため、1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の高い精度が求められる。この部品で、堀尾は世界シェア約30%を握るリーディングカンパニーとなっている。
なぜ堀尾が世界から引く手あまたの企業になったのか。理由は4つある。まずはニッチ分野で高い技術力を身につけたこと。亜鉛ダイカストの工程だけでなく、前後工程も自社で一貫して行う体制を築いたこと。自社で製造機械を開発し、生産ラインを最適化してリードタイムを短縮してきたこと。最後に1つの企業や業界だけでなく、多方面に製品を供給してきたことだ。
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