「時事深層」

時事深層

2009年11月19日(木)

「更新料無効」100万戸に激震

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マンションなどの賃貸契約を更新する際に、入居者が家主に支払う更新料。この料金の支払いを巡る裁判が、不動産会社に波紋を広げている。今後の判決次第では、「一括借り上げ」事業の減収要因となる可能性もある。

 「この先の裁判の行方がどうなるのか。不安でたまりませんよ」

 東京都内に住む中村昭雄さん(45歳、仮名)が胸中を明かす。妻と大学・高校に通う3人の子供と暮らす中村さんは昨年9月、家計の足しにと一念発起し、中古ワンルームマンションの不動産投資を始めた。

 こつこつと貯めた貯金300万円を頭金に、東京都豊島区に約1200万円の物件を購入。毎月振り込まれる家賃7万円に加え、2年に1度、家賃2カ月分の更新料を得られるはずだった。

 ところが今年8月、そんな中村さんの収入計画を打ち砕きかねないニュースが飛び込んできた。

「無効」か「有効」かで戦々恐々

 「賃貸更新料は無効」ーー。8月27日、京都府の賃貸マンションの元入居者が、既に支払った更新料の返還を家主に求めた控訴審判決で、大阪高等裁判所が、更新料を徴収する法的な根拠はないとする判決を下した。家主に対し、元入居者が過去に支払っていた更新料を返還するように言い渡したのである。

主な更新料裁判

 この裁判は家主側が上告したため、争いは最高裁判所に舞台を移すことになった。だが、「更新料を大事な収入源として当てにしていた」と言う中村さんは、この結果に激しく動揺した。

 「このままの流れだと、更新料は取れなくなる可能性が高いです」。不動産管理会社からもこう宣言され、現在は資産運用計画を見直さざるを得ないと、半ば諦め顔だ。

 今年10月に開かれた別の更新料裁判では、「更新料は有効」とする判決が下された。更新料を徴収する根拠があるかないかで、高裁の判断は分かれている。最高裁の判決まで結論は出ないが、「更新料無効のリスクがなくならない以上、決して安心はできない」と中村さんは言う。

 今年8月の無効判決をきっかけに、更新料問題が全国の家主に波紋を広げている。

 家主側の弁護団を組織する田中伸弁護士が指摘する。「今回の判決は、(訴えを起こした)京都にとどまらず、首都圏やその他の地域にも影響力を持つ判決と考えられる」。

 金額の多寡や頻度は異なるが、更新料を取る賃貸契約は、一般には関東、近畿、九州地域に多いと言われており、「最低でも全国に100万戸はある」と田中弁護士は推定する。更新料に関するセミナーは全国各地で連日開催されており、不安を抱えた不動産管理会社の経営者や担当者が詰めかけている。

 「更新料は、毎月の家賃を補填する意味もあった。ただでさえ家賃を抑えたカツカツの状態なのに、これで更新料がなくなれば、アパートを手放すことも考えないと」と京都府でアパートを所有する50代の女性は不安を隠さない。

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