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「政治主導」が、JAL迷走を加速させる

前原大臣の致命的なボタンの掛け違い

  • 高橋 篤史

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2009年11月17日(火)

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 日本航空(JAL)の再建問題をめぐり、政府は11月10日夜、3項目の確認事項を公表した。当面の最重要課題であるつなぎ融資について、追加の公的支援に大きく道を開いた格好だ。

 しかし、いったん実質債務超過と認定されたJALに対する融資は正当化されうるものなのか。そもそも、JAL問題がこれほどの迷走状態に陥った原因は、前原誠司・国土交通大臣が犯した致命的なボタンの掛け違いにあったように見える。

閣僚の「再建方策」は生煮え

 前原・国交大臣、菅直人・国家戦略担当大臣ら関係5閣僚が連名で公表した「日本航空の再建のための方策について」と題するペーパーは、3項目について「確認」したもの。

 冒頭の項目で「再建を国民目線に立って確実に進める」と掲げ、2番目に「公的資金が年金払いに充てられる形とならないよう」に法的措置などの検討を進めることを明記。当面の課題であるつなぎ融資については3番目の項目で「関係金融機関により確実に融資が実行されるよう」「適切な信用補完に関する予算及び法的措置を含む方策について検討する」との記載がなされた。

 5人の大臣が連名で公表したものの、「進める」「検討する」といった文言ばかりが並び、決定事項は何一つ盛り込まれていない。内容的にはいかにも生煮えの印象だ。

 JALは11月13日に第2四半期決算の発表を控えていたが、政府は信用不安を鎮めるため何らかのアクションを起こす必要に迫られていた。しかし、まとまった支援策どころか、当座の危機を乗り切るための具体的方策すら示せず、“意思確認”だけが行われた。JAL問題に対する政府対応は完全に後手に回ってしまった。

 ただし、今回、つなぎ融資への政府の追加関与について前向きな姿勢を公に向かって示したことは、1つのターニングポイントと言えるだろう。JALは資金不足に陥ることが確実で、必要額は来年3月末までに1250億円とされている。追加融資がなければ倒れてしまう危機的状況だ。

実質債務超過企業への融資はご法度

 しかし、ここで大きな問題として横たわるのが、前原大臣直轄の「JAL再生タスクフォース」によって行われた資産査定の結果である。

 冨山和彦・元産業再生機構専務らタスクフォースは9月末から1カ月をかけ、JALの資産査定を実施した。その結果、同社が2500億円程度の実質債務超過にあり、銀行団は同規模の債権放棄を行うことが必要などとする一定の結論が導き出された。

 銀行団の反発や年金削減問題を重視する財務省の懸念など、複雑な力関係が働いた結果、タスクフォースの最終報告は10月末になって封印された。11月13日に発表されたJALの第2四半期決算では資産超過とされたが、これはゴーイングコンサーン(継続企業の前提)に基づくもので、資産査定結果と異なるのはある意味で当然。会計ルールとは違うアプローチで行われた資産査定とはいえ、大臣が任命した第三者が実質債務超過と認定した意味が重いことには変わりがない。

 なぜなら、会計ルール上の決算数字よりも実質的な資産状態を重視する金融実務の常識からすれば、実質債務超過企業への融資は御法度だからだ。すべての資産を売り払っても債務を弁済できない実質債務超過企業に対する融資は、その回収可能性が極めて低いことが明らか。

 仮に民間銀行がそのような企業に融資すれば、株主代表訴訟の恐れがあるばかりでなく、過去の不正融資事件に照らせば背任など刑事罰に問われる危険性すらある。

 「再生可能性や再建計画の妥当性など、それなりの理由付けがあれば、融資ができないこともない」(大手銀行)とはいうものの、現在のJALには肝心の再建計画すら存在しない。

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