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「来てくれ」では誰も振り向かない。その前に、地方にはやることがある

今年、金賞をとった「観光ポスター」に込められた意味

2009年11月20日(金)

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 「ぽん酢しょうゆ ゆずの村」や「藁焼き鰹たたき」「島じゃ常識 さざえカレー」など、数多くの地域ブランドに関わってきた梅原真。彼が関わったプロジェクトが成功する理由の1つに、パッケージやコピーに色濃く反映されている「土地の遺伝子」の存在があった。商品が放つ土地の遺伝子。これがトリガーになることで、消費者のコミュニケーションスイッチがパチンと切り替わり、実際のアクションに移るのだろう。

 もっとも、梅原デザインに埋め込まれたトリガーはほかにもある。それは地域のアイデンティティ。梅原が描くデザインにはその地域のアイデンティティや目指すべき方向が濃厚に漂っている。今回は沖縄県国頭村の「やんばる ふんばる 国頭村」をケースに梅原のデザインを見ていく。


(日経ビジネス オンライン、篠原匡)
梅原デザインのあしあと

 沖縄本島の北の端、辺戸岬を通り過ぎると、海の色が突然変わる。国道58号線沿いの東シナ海はエメラルドグリーンの輝き。それが、辺戸岬を右に回って県道70号線を走ると、海の色は白波が立つ群青色に染まる。リゾートの風が吹き抜ける東シナ海と荒々しい太平洋。沖縄の海は辺戸岬を境に2つの顔を持つ。

 沖縄県国頭村――。東経128度、北緯26度に位置する沖縄本島の最北端の村である。この村の大部分は奥深い山原(やんばる)の森に覆われている。その多くはブナ科の常緑広葉樹であるイタジイ(スダジイ)。ブロッコリーのようにこんもりとした濃緑の森、地元ではブロッコリーの森とも呼ばれている。

天気が良ければ、辺戸岬から与論島が望める
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 このやんばるの森は多様な動植物の宝庫である。ヤンバルクイナやノグチゲラ、ヤンバルテナガコガネなど国指定天然記念物に指定されている生き物はこの森で暮らしている(ノグチゲラは国指定特別天然記念物)。このような固有種が今なお生息しているのは世界でも希少な亜熱帯降雨林、やんばるの天然林があるからにほかならない。

 国頭村を訪ねた10月。暦の上では秋だというのに、ブロッコリーの森ではオオシマゼミの鳴き声が響き渡っていた。ブランコを軋ませたような「キシキシ」という独特の鳴き声は12月頃まで続くという。亜熱帯の楽園、国頭村ならではの風景である。

やんばるの森はイタジイの木に覆われている
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見る者の心を奪う6連ポスター

 今年5月、この国頭村の観光ポスターが日本観光ポスターコンクールで金賞を受賞した。「やんばる ふんばる 国頭村」。ヤンバルクイナ、ヤンバルテナガコガネ、キノボリトカゲ、オリイオコウモリ、リュウキュウオハグロトンボ、コシダなどヤンバルの森に生息する動植物の写真に、「やんばる ふんばる 国頭村」というコピーが描いた6枚組のポスターである。

 何かに耐えるように岩にしがみついているヤンバルテナガガネ、草むらに無造作にたたずむヤンバルクイナ、四肢に力を込めるキノボリトカゲの姿が何とも印象的。しかも、「ふんばる」の左半分がなぜか裁ち切りになっている。6枚組で並んでいると、不思議な迫力に目が止まることは必至。まさしく、コミュニケーションのスイッチが切り替わるポスターである。だからこそ、金賞に選ばれたのだろう。

 このポスターを作ったのは高知県在住のデザイナー、梅原真である。数々の地域ブランドを世に送り出した凄腕のグラフィックデザイナーだ。

 見る者の心を奪う「やんばる ふんばる 国頭村」。このポスターのコミュニケーションスイッチはどこにあったのだろうか。突き詰めると、それは国頭村のアイデンティティ。この村の自我と目指すべき方向が濃厚に漂っているからこそ、人々の心に刺さったに違いない。それでは、国頭村のアイデンティティとはどういうことか。以下、具体的に見ていこう。

「やんばる ふんばる 国頭村」
日本観光ポスターコンクールで金賞を受賞した。上から、「ヤンバルテナガコガネ」「ヤンバルクイナ」「キノボリトカゲ」「コシダ」「オリイオオコウモリ」「リュキュウハグロトンボ」(梅原デザイン事務所提供)
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「「来てくれ」では誰も振り向かない。その前に、地方にはやることがある」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官