「1ドル=90円」の円高が続く中、自動車メーカーが部品の海外調達を急いでいる。日産は国内生産の高級車に輸入部品を採用、ホンダは2輪車の部品購買を世界で見直す。政府のエコカー支援などで上向く業績にブレーキをかけないため、コスト削減に励む。
厳しい円高をいかにして乗り越えるのか――。 1ドル=90円 が定着する中で、輸出産業の代表格である自動車メーカーは苦しんでいる。
「円高対応は、従来のような国内工場での生産性の改善だけでは不十分だ。海外からの部品輸入を加速する」
11月12日、日産自動車が栃木工場で開いたセダンの新型「フーガ」のオフライン式典。本誌記者の質問に対し、日産の志賀俊之COO(最高執行責任者)はこう言い切った。
一見すると日産の業績は回復傾向にある。4〜9月期は、949億円の営業黒字を確保。だが、下期の経営環境は不透明で、通期では最終赤字を見込む。
最大の課題が、円高だ。輸出比率が8割を超す栃木工場の悩みはとりわけ深い。9月までは2本ある組み立てラインのうち、1本が止まっていた。
生き残りをかけて、高級車である新型フーガの生産でも、日産は輸入部品を活用する。「ワイヤハーネス、カーナビユニットといった様々な海外部品を採用している。中国製が多いが、チュニジア製の部品まである」。日産の栃木工場の幹部はこう明かす。
海外で材料から調達する部品は、コスト競争力に優れる。物流や検査を強化する費用を含めても、日本製より1〜2割は安くなる場合が多いという。
新型フーガの取り組みは、輸入部品を活用する日産の戦略を象徴している。小型ワゴン車の「キューブ」でも、エアバッグ、ミラー、ペダルを海外からの輸入に切り替えている。キューブの場合、金額ベースで部品の3割が海外製だ。日産は、大半の車種で同様の取り組みを加速している。
海外部品を発掘する“特殊部隊”
日産全体で見た国内生産における海外部品の採用比率は、現時点では約2割に達している。これを2012年に4割程度に増やす計画だ。「プレス部品からゴムの窓枠まで大半の部品を、海外から持ってくることができる。当初は腰を抜かすほど品質が悪いケースもあったが、検査を徹底させて、不良率をケタ違いに下げることができた」(日産で購買を担当する山内康裕常務)。
海外部品の調達を担当する“特殊部隊”が日産にはある。「LCC(リーディング・コンペティティブ・カントリーズ)」担当と呼ばれるチームだ。中国やタイなどコスト競争力が高い国の部品を、日本などの先進国に輸出する。現地に専任の駐在員を置き、コストや品質などの基準を満たす部品を発掘。最大の調達先である中国の場合、現地で日産と取引する日系と現地系のメーカーが生産する部品の約半分を、既に輸出に対応させている。
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