「ニュースを斬る」

問題企業の“パス回し”に翻弄された大分トリニータ

不祥事を起こすスポンサーばかりが集まる

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2009年11月25日(水)

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 サッカーJリーグ(社団法人日本プロサッカーリーグ)の大分トリニータ(運営会社は大分フットボールクラブ)が経営危機に喘いでいる。資金繰りのメドが立たないため、Jリーグから緊急融資を仰ぐことが先頃決まったところだ。11月20日には、社長の溝畑宏氏が責任を取って辞任することを明らかにした。

 プロチームの経営不振と言えば成績低迷に伴うスポンサー離れと見られがちだが、大分トリニータの場合は必ずしもそればかりではない。経営難の遠因は、実は意外なところにある。相場操縦事件で社長が逮捕されるなど、スポンサー企業で相次いで不祥事やトラブルが起きているのだ。

昨年はナビスコカップ優勝

 大分トリニータは昨年のナビスコカップで優勝も果たした強豪チーム。が、今季は低迷し、J2降格が決まっている。この間、運営会社の経営はギリギリの線で踏みとどまってきた。2007年1月期には経常黒字化を実現、2009年1月期には営業収入21億8400万円を計上して、わずかだが最終黒字200万円を確保している。

 J1チームの平均営業収入が約35億円のところ、大分トリニータは小規模チームながら健闘してきたといえる。総務省キャリア出身の溝畑氏の経営手腕も広範に評価されてきた。

 しかし、過去に抱えた負債は大きく、その解消にはほど遠かった。総資産7億5400万円に対し、債務超過は5億5800万円にも達する。大分県の外郭団体から2億円の融資を受けるなど、やっとのことで支えられてきたのが実情だった。

 そんな中、J2降格のマイナス要素も加わり、来年1月末には大幅な資金不足に陥ることが確実となった。大分トリニータは11月11日、Jリーグに対して融資を要請。Jリーグは同月17日、「公式試合安定開催基金」から最大6億円の融資を行うことを理事会で決めた。

 今回出動が決まった公式試合安定開催基金は、2005年に規定が設けられたもので、いわばJリーグ版セーフティーネットだ。一般会計から余剰金を拠出して積み立てた基金残高は今年3月末で9億5300万円。これまでに2回の活用例があり、J2のFC岐阜(運営会社は岐阜フットボールクラブ)に対しては現在も5000万円の融資残がある。

 大分トリニータに対する最大6億円という融資額は基金の半分以上を占め、過去に例のない規模。Jリーグにとっても今回は屋台骨を揺るがす事態と言ってよい。

スポンサーは赤字企業

 大分トリニータにおける経営危機の歴史を紐解くと、そこにはスポンサー企業に恵まれなかった不幸な過去が大きく横たわっている。一見関係がなさそうだが、大阪府警が11月4日に強制捜査に乗り出したユニオンホールディングス(ユニオンHD)株をめぐる相場操縦事件も、大分トリニータの経営危機には暗い影を落としている。

 東証2部上場のユニオンHDは、かねて株式市場関係者の間で“仕手銘柄”と噂されていた会社。バブル期にEIEグループを率い、「環太平洋のリゾート王」との異名もとった故高橋治則氏が2005年に急死する直前まで手掛けていたことで知られる。不透明なエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)を繰り返す一方、多額の最終赤字を計上し続けるなど経営成績はボロボロだ。

 そんなありさまだったにもかかわらず、ユニオンHDは突如として大分トリニータのスポンサーとなった。2008年のシーズン中、ユニホームの背中部分に堂々とユニオンHDの社名が入れられたのである。

 2009年3月期の有価証券報告書を見ると、ユニオンHDは大分トリニータに対して前渡金1億2000万円を差し出し、代わりに1億円の未払金債務を負っている。大分トリニータの広告収入は直近で9億円弱。取引規模からすると、ユニオンHDはかなりの大口スポンサーだった。

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著者プロフィール

高橋 篤史(たかはし・あつし)

ジャーナリスト。1968年愛知県生まれ。93年早稲田大学教育学部卒業。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て、2009年よりフリーランスのジャーナリスト。著書に『ドキュメント ゼネコン自壊』『粉飾の論理』(いずれも東洋経済新報社)がある。



このコラムについて

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日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、NBonline編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

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