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なぜ待機児童問題は解決できないのか

子ども手当のバウチャー化を経済学的視点から考える

2009年12月1日(火)

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 待機児童問題が、再び深刻な事態を迎えている。厚労省によれば、最新統計である2009年4月の待機児童数は、全国で2万5384人と昨年に比べて5834人も増加し、過去最大の増加率(29.8%)となった。また、既に来年4月の認可保育所の申し込みが始まっているが、東京都各区とも今年を上回るハイペースの申し込みが続いている。これは、いわゆる「リーマンショック」に始まる世界同時不況に伴って、夫の失業や収入低下を補おうと、乳幼児を抱える母親達がパート・アルバイトに出ていることが背景である。

 しかしながら、よく見れば、待機児童数はたかが2万5000人程度である。認可保育所の定員数自体は200万人を超えているから、この程度、ちょっと努力をすれば解決できそうな数字に思われる。小泉政権下の「待機児童ゼロ作戦」をはじめ、認可保育所の定員を増やす努力はこれまでも行なわれてきたはずなのに、なぜ、待機児童はなかなか解消しないのだろうか。実は、この待機児童数の見た目の少なさが、政府の待機児童対策を甘く考えさせ、抜本的な対策が行なわれてこなかった一つの大きな要因なのである。

問題を過小評価させる待機児童統計

 まず、この待機児童数の定義には、不足する認可保育所に入ることを諦め、やむなく「無認可保育所」を利用している十数万人の児童が含まれていない。無認可保育所というのは、各自治体が応急的に設置している小規模の保育所・保育室、東京都の認証保育所(東京都が独自の補助金を投入している認可保育所に近い質を保つ無認可保育所)などであるが、厚生労働省の管轄外にあり、国からの補助金が全く無い。このため、利用者の保育料は月額6万円程度と高く、しかも保育士数や施設設備が認可保育所に比べて乏しい保育所である。また、この待機児童数の定義には、就職活動中の母親、もしくは働きたいと考えているにもかかわらず、保育所が無いために就職口を決められず、入所申し込みができていない母親の児童数が除かれている。

 この統計の取り方は、失業したとしても、求職行動を示さない限り、失業者と定義されない、国の雇用統計と同じである。実は、失業率は、景気が回復しても初めはかえって悪化する傾向があることが知られている。それは、これまで働きたくとも、「どうせ働き口はないだろう」と諦めていた潜在的失業者(統計上、失業者となっていなかった人々)が、景気回復に期待を寄せて求職票を提出し、失業者として顕在化してしまうからである。このため、しばしば「ジョブレス・リカバリー(雇用なき景気回復)」と呼ばれる状況となる。失業率が回復するには、さらに力強い景気回復を持続させることによって、この潜在的失業者を一掃しなければならないのである。

 待機児童も同様である。各自治体が少しばかり認可保育所を増やしても、それがかえって呼び水となり、潜在的待機者が入所申請をして、新待機児童として顕現化する状況では、待機児数はなかなか減少しない。待機児童数が減少するには、統計上に現れた2万5000人の数だけではなく、統計上に現れていない潜在的待機児童数を解消しなければならないのである。

 それでは、この潜在的待機児童数はいったいどれくらいの規模になるのだろうか。

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