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非正社員が努力しても、なしのつぶてだった

小売業を志向する37歳男性のケース

  • 小林 美希

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2009年12月14日(月)

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 「雇用が不安定なまま、結婚もできずに、40代になりたくない」。田中拓也さん(仮名、37歳)の気持ちは焦る。

 仕事があれば地域を選り好みせず、地方の工場や小売店などで住み込みで働いたが、景気後退の打撃は大きく職を失った。一度、非正社員になると、そこから抜けられず、ずっと非正社員。

 仕事があれば、まだいいかもしれない。いつかは結婚して家庭を作りたいと願っているが、一定の収入がなければ“婚活ブーム”にも乗れない。このままでは、永遠に正社員になれず結婚もできないのではないかと、一念発起、失業給付を受けながら職業訓練に通い出した。

“派遣切り”で気づくなんて遅い

 飲食関係の専門学校を卒業後、不況で就職先がなかったため、拓也さんはレストランなどでアルバイトとして働いた。2001年にいったんは関西地方で酒の量販店正社員になったが、すぐに会社の業績が悪化し社員はリストラされた。2002年に拓也さんも、リストラの波に飲み込まれた。

 ここから、拓也さんにとって雇用の負のスパイラルが始まった。「即日解雇」を言い渡され、会社が借り上げていたアパートの立ち退きまで強要された。仕事と同時に住居を失った。

 貯金もなく、引っ越し費用や敷金・礼金を友人から借金した。生活費もままならず、クレジットカードのキャッシングに手をつけ、消費者金融からも借り入れ、借金は最終的に300万円に膨らんだ。

 7年も前、拓也さんは仕事と住居を同時に失う恐怖を、嫌と言うほど味わった。「昨年起こった“派遣切り”で気づくなんて遅い。消費者金融から借金もできない人間はアパートも借りられず、野宿するか、“派遣村”に行かなければならないということだ」(拓也さん)。

 派遣村以降、厚生労働省は実態調査に乗り出した。「非正規労働者の雇い止め等の状況」では、2008年10月~2009年10月までに雇い止めに遭った22万1801人のうち住居喪失者は3394人だった。拓也さんも、そうした1人になりかけたのだ。

 当時、30歳を目前としていたが、再就職先はなかなか見つからなかった。アルバイトをしたところで家賃も払えないと、住み込みで工場での請負労働を始めた。

 滋賀県に移り住み、近隣の大手電気メーカーや自動車メーカーの工場で生産現場で組み立てなどの仕事を始めたが、それも業務が縮小されると、契約が途中にもかかわらず、2004年秋にクビを切られてしまった。生産が調整されると同時に雇用も調整されるシビアな現実。業務の効率化とコスト削減を命題に、そこで働く人たちの主たる生計が景気悪化で瞬時に揺らいでしまう。

 以前から日雇い労働や出稼ぎ労働など不安定な雇用は存在した。しかし、近年の不安定さは、企業が期間工やアルバイトとして直接雇用するのではなく、請負会社や派遣会社を通して雇う仕組みが責任の所在を曖昧にさせ、よりドライなリストラを加速させている。

 拓也さんはまたも就職先を探すことになったが、自動車運転免許がなく、地方で求職活動するには限界があった。求人の多い営業や介護の職を探しても、移動に車が必要で諦めざるを得なかった。

 免許を取ろうにも、教習所に通う資金がない。ハローワークに行っても、応募の条件には自動車免許があることが前提だった。

 そのうち、職探しのプレッシャーに押しつぶされそうになった。気が紛れるかと思い、自治体に設置された結婚相談所をふらりと寄ってみた。しかし、案の定、門前払いされた。

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