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第4回 幕末明治の翻訳は意外に読みやすい

「独立宣言」を「独立の檄文」と訳した福沢諭吉

  • 山岡 洋一

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2009年12月24日(木)

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 これまで3回にわたって、意味を伝えるという点で問題のある翻訳を取り上げてきた。だが、すべての翻訳に問題があるわけではない。問題があるのは「翻訳調」と呼ばれるスタイル、明治半ばごろに確立し、ごく最近まで主流であった翻訳スタイルで訳されたものだ。古典はごく最近まで、たいていは翻訳調で訳されてきたので、読んでもさっぱり理解できなかったという思い出のある人が多いはずである。だが、翻訳調ではない翻訳は可能だし、実際にそういう例はかなりあり、最近の翻訳ではとくに増えている。ここで紹介したいのは、翻訳調が確立する以前のものである。

100万部を超える大ヒットもあった大翻訳時代

 幕末から明治の初めにかけては、大翻訳時代だといえる。大量の翻訳が出版されているし、なかには100万部を超える大ヒットになったものもある。なかでも、福沢諭吉や中村正直ら、この時代を代表する天才が優れた翻訳をいくつも出版していることが目立っている。そのなかで、前回にも紹介した「アメリカ独立宣言」を取り上げ、福沢諭吉による訳の冒頭部分をみてみよう。

福沢諭吉訳「アメリカ十三州独立の檄文」
 人生已(や)むを得ざるの時運(じうん)にて、一族の人民、他国の政治を離れ、物理天道の自然(じねん)に従て世界中の万国と同列し、別に一国を建る時に至ては、その建国する所以(ゆえん)の原因を述べ、人心を察して之(これ)に布告せざるを得ず。(福沢諭吉『西洋事情 』福澤諭吉全集第1巻、慶應大学出版会、2002年、68ページ)

 何しろ慶応2年(1866年)の訳だから、古い言葉も使われている。だが、音読してみると、意外に理解しやすいことに気づくはずだ(当時は黙読するのではなく、音読するのが常識だった)。これを翻訳調の翻訳と比較すると、違いが分かるはずである。前回と同じ宮田豊訳と原文をあげておこう。

宮田豊訳「アメリカ独立宣言」(昭和31年、1956年)
 人間の出来事の趨勢において、一国民にとって、彼らを他国民に結びつけていた政治的覊絆を断つて、自然の法と自然の神の法とによって与えられる独立平等の地位を世界の列強間に占めることが必要となる場合にあっては、人類の意見に対してそれ相当の尊重を払うには、彼らは、自分たちが分離を余儀なくさせられる理由を、宣明しなければならない。(大石義雄編『世界各国の憲法典』有信堂、昭和31年、1956年、23~24ページ)

When in the Course of human events, it becomes necessary for one people to dissolve the political bands which have connected them with another, and to assume among the powers of the earth, the separate and equal station to which the Laws of Nature and of Nature's God entitle them, a decent respect to the opinions of mankind requires that they should declare the causes which impel them to the separation.

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