「若きキャリア官僚たちの秋2009」

非効率だからといって、それは無駄なのか?

【第11回】総務省 中井幹晴氏《中編》

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2009年12月14日(月)

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 行政刷新会議による事業仕分けで、各省庁の施策が見直されている。前回の官庁の違いに続き、今回は地方や国政に伴う無駄について、総務省の中井幹晴氏に語ってもらった。

佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 天下りなどがクローズアップされていますが、そもそもの官僚や代議士の仕事の目的とは、税金を公正に分配することではと思います。現在、正しく分配されているでしょうか?

中井 幹晴(以下、中井) 政治家や官僚の仕事の目的、つまり政治・行政の目的となると様々な視点があり、実は難しい議論です。

 国家というものの由来から考えると、その最も基本的な機能は国防と治安だと思います。国防、つまり対外的な安全の確保のために外交もするわけです。国防、治安を保つためには軍隊や警察が必要であり、その原資を確保するために徴税が必要になります。

 また、長期的に治安を保つためには国民の大多数が納得できるような形での富の再配分が必要になってくる。政治、行政はそれらの機能を果たさなければなりません。

佐藤 国家の第一の役割が防衛というのは世界中同じです。ちゃんと分配されずに官僚が無駄遣いしていると言われて、行政刷新されていますね。

社会保障の切り詰めか、増税か

中井 例えば地方交付税などは、税源が豊かなところと、ないところの格差を調整しつつ、全国津々浦々の自治体が円滑に行政を執行するための財源を保障する仕組みです。

中井 幹晴(なかい・みきはる)氏
大阪府出身。東京大学法学部卒業後、1992年、自治省(現・総務省)入省。総務省では、地方税制の改正、地方行革の推進等を担当し、自治体出向時には、京都府地方課長として府内の市町村合併を支援、また、徳島県吉野川市助役として合併によってできた新市の立ち上げ時期の市政に携わるなど、地方自治に関する仕事を中心に取り組む一方、OECD(経済協力開発機構)、大蔵省(現・財務省)、防衛省へ出向し、金融、外交・安全保障といった幅広い政策分野に関わってきた。
(写真:佐藤ゆみ)

 ところが小泉純一郎元総理による構造改革では、国全体とし資金を効率的、効果的に回さなくてはいかんということで、まあ、平たく言うと、あまり人が住んでいない地方にお金を回すのは非効率的だということで随分削減されました。あまり使ってない道路が攻撃されていましたよね。

 投資効率の悪いところの事業はやめて、効率のいいところに回しましょうということにした。結果、人があまり通らない道路は作るのをやめましょう、社会保障もできるだけ切り詰めた方がいいんじゃないか、という議論になった。そうすると今度は逆に、果たしてそういうのは省くべき無駄だったのか? という疑問が提起される。

佐藤 特に地方の田舎は分配してもらわないと困りますよね。効率を追い求めるのはもちろん大切ですが、産業のないところは農業と建設土木しかないので大変そうです。

 だいぶ前のことですが、官官接待がなくなっただけで、地域の食材屋さんやタクシー運転手の仕事がなくなり、その方々の地域での購買力が低下して呉服店や電気店まで景気が悪くなったと聞きました。規制緩和で酒店さんやおばあさんがいたタバコ販売店さんもなくなったそうで。

 無駄とされるもので生活が成り立っていた地域は多いそうですね。そして地方の若者は職を求めて都会に出てくるから、過疎地はますます過疎化すると。

中井 過疎や過密の問題もあるのですが、もはや日本全体として数年前から人口減少の局面に入っています。しかも少子高齢化がすごい勢いで進んでいる。仮に少子化対策が功を奏して少々出生率が回復したとしても、当分このトレンドは変わりません。

 地方では都市部よりも一足早くその事態に直面してきたのです。社会保障も切り詰めていくのか、それとも税金を上げて賄っていくのか、早晩決めなければなりません。

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著者プロフィール

佐藤 ゆみ(さとう・ゆみ)

佐藤 ゆみ政治アナリスト、マナー・礼法講師。札幌市出身。米国ルイス&クラーク大学留学、政治学・国際関係を学ぶ。帰国後、総合広告代理店にプランナーとして勤務。その後、衆議院選に出馬。政策担当秘書として国会議員の各種政策立案に携わる。現在、INTEGRACE(インテグレース)代表。企業・個人を対象に印象マネジメント、営業・接遇マナー、時事研修を実施中。ハリウッドビューティサロン「美人講座」講師。政治を切り口にしたコンサルティング・研修には定評がある。ウェブサイト「人を動かすマナーの法則」連載。



このコラムについて

若きキャリア官僚たちの秋2009

税金のムダ遣い、縦割り行政の弊害、天下りの横行・・・。様々な批判が浴びせられる官僚たち。政権を担う民主党はマニフェストで「国家公務員の総人件費を2割削減する」と掲げた。日本の高度成長を支えた官僚の後輩たちは、どんな現状認識を抱いているのか。そして、国家運営に対する志は残っているのか。生の声から探っていく。

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