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わたしたちが「こうなった」のはなぜ?
~「角」の視点から学ぶニッポン現代史

  • 山岡 淳一郎,山中 浩之

バックナンバー

2009年12月15日(火)

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画像のクリックで拡大表示(イラスト 茂本ヒデキチ)

 歴史の大波が日本を洗っている・・・などと、がらにもなく言いたくなるこのごろです。バブルが崩壊してこのかた、高度成長もオイルショックも、ホイチョイの映画も、もちろん太平洋戦争も頭の中から消えて、日々の出来事に右往左往してきましたが、「どうもこれは、いままでの経験則ではどうにもならないぞ」と、おそらく私たちは気づきつつある。

 私たちはなぜここにこうして立ちつくして、呆然と荒波を見ているのか。ここまで何があって、どう歩いて、この状況に至ったのか。それを自分の頭で理解しないことには、前に進めそうにありません。

 というわけで「経済学っぽくいこう!」に続く勉強シリーズ第二弾、今回は「歴史」、それも近代史・現代史を勉強してみようと思います。

 「私たちはいまなぜここにいるのか」を面白く学ぶために、格好の先生を見つけました。まず前半は、いわゆる「日本型」の利益再分配・福利厚生システムが始まった時期を担った首相、田中角栄にスポットを当てた『田中角栄 封じられた資源戦略』を上梓した山岡淳一郎さん。後半は、ベストセラーとなった『それでも日本人は「戦争」を選んだ』の著者、加藤陽子先生(東大教授)が登場。史実を「読み倒す」ことに長けたおふたりから「歴史を見るための眼」の培い方を学びましょう。

参考図書を大量にご紹介、リアル書店でもフェアを開催中!

 ウェブの記事だけでなく、参考になる書籍も山岡さん、加藤先生から大量にご教示いただきました。毎回、後半でブックガイドを連載します。ご紹介する本のリストは、★こちらからご覧いただけます。2ページ目以降はログインが必要になるので、あえて1ページで構成しております。多少見にくいのですが、いつでもどこでも参考にしていただくためなので、ご容赦を。

 なお、本企画と連動した書店さんとのフェアが首都圏で開催されます。有隣堂ヨドバシAkiba店を中心に、有隣堂主要店さん、フタバ図書TERA南砂町店さんなど、多くのお店が参加してくださいました。店舗によって開催期間や本の品揃えが異なりますので、こちらからご確認ください。

(イラスト/茂本ヒデキチ フィギュア制作/マスタード モデルス

田中角栄 封じられた資源戦略』(山岡淳一郎著、草思社)

――この表紙で、田中角栄氏の左に立っている顔の若さにびっくりしました。2009年はこの田中角栄の愛弟子、小沢一郎氏がプロデュースした民主党が政権を獲った年になりました・・・と分かったようなことを言いますが、実は政界って「結局、同じような人たちの間で、看板の掛け替えをやっている」ようなイメージも、正直あるんです。

山岡 山中さんは1964年生まれですから、田中角栄の記憶はありますよね。

―― ええ、ワタシは新潟出身で、当時の彼は「郷土の英雄」でしたから。小学校で彼の自伝(『わたくしの少年時代』)を買わされた記憶があります。

山岡 1976年のロッキード事件以前を知っているわけですよね。ということは、田中角栄といえば?

―― それは「日本列島改造論」(書籍は1972年刊)ですね。

日本列島改造論』(田中 角栄著、日刊工業新聞社)

山岡 そうですよね。あまたの日本の首相の中で彼が現在に至るまで、任期の短さにもかかわらずひときわ目立つ大きな理由の一つは、日本に「列島改造論」という「グランドデザイン」を提示したことです。

 民主党政権のプロデューサー・小沢一郎氏は「政治とは生活を守ること」というスローガンを掲げて選挙戦を戦い、小泉流新自由主義で貧困・格差問題で行きづまった自民党にとどめを刺しました。この「政治とは生活を守ること」は小沢氏の一枚看板のようですが、実はこれ、彼が27歳で政界入りし、「オヤジ」と慕った田中角栄のモットーでした。

―― 「生活を守る」とは、具体的にどういうことでしょう?

山岡 国民全体の生活を守るには、裕福な層から貧しい層への「富の再分配」をしなくてはなりません。富の偏りをなくすには、社会民主主義的な議会や政府の介入も求められます。いま、まさに民主党政権は「富の再分配」で悪戦苦闘しているわけですが、大都市に集中する富を「社会基盤(インフラ)整備」というパイプを使って地方へ還流させるレールを敷いた政治家こそ、田中角栄でした。

「再分配」のグランドデザインを構築した角栄

―― 田中角栄が構築したグランドデザインを、その愛弟子が書き換える機会が訪れている、という見立てが出来るわけですね。

山岡 「日本列島改造論(1972年、日刊工業新聞社刊)」は、こう宣言しています。

「……都市集中のメリットは、いま明らかにデメリットへ変わった。国民がいまなによりも求めているのは、過密と過疎の同時解消であり、美しく、住みよい国土で将来に不安なく、豊かに暮らしていけることである。そのためには都市集中の本流を大胆に転換して、(中略)工業の全国的な再配置と知識集約化、全国新幹線と高速道路自動車道の建設、情報通信網のネットワークの形成などをテコにして、都市と農村、表日本と裏日本の格差はなくすことができる」

―― 今でも通じそうな言葉ですね。田中角栄は、国内の「格差」を埋めるべく列島改造をやろうとした、と。

山岡 さらには「将来の府県制度のあり方を根本から検討する時期にきている。その場合、新たに広域ブロック単位で国と地方自治体の中間的性格を持つ新しい広域地方団体を設置するのもひとつのアイデアではないか」と、「地方分権・道州制」にまで踏み込んでいます。

―― 列島改造論は、田中角栄をテコに利権拡大を図った官僚の作文、という見方もあるみたいですが。

山岡 列島改造論は、いわゆるゴーストライターに委ねられたものではありません。角栄自身が1回4時間に及ぶレクチャーを3~4回重ね、それに沿って、通産省(現経産省)の官僚を中心とする側近がまとめたものです。

―― しかし、現実には再分配どころか、その後列島改造論は地価高騰や汚職の原因としてヤリ玉に挙げられることになります。新潟県人として、肩身が狭くなる思いも時々味わいましたね。

山岡 あけすけに言うと、角栄流の富の再分配は「当たりすぎた」のです。

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