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有田焼の老舗を救った携帯ゲーム

ネットやデジタルは現実世界の行動に直接関与できる

2009年12月22日(火)

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 メディア崩壊が叫ばれて久しい。圧倒的なパワーを誇っていたキング・オブ・メディア、テレビも、いよいよ土俵際に追い込まれている。

 11月に出揃った在京民放5社の2009年9月期中間連結決算は、全社が揃って減収となった。TBSホールディングスは決算公表以来、初の最終赤字に転落。ほかの4社も薄利に喘いでおり、コスト削減の大号令が現場に飛び交っている。

■在京民放5社の2009年9月期中間連結決算

  売上高(前年同期比) 営業利益(同) 最終損益(同)
フジテレビ 2807億円(0.4%減) 27億円(78.3%減)  30億円(46.6%減)
TBS 1757億円(1.5%減) 29億円(70%減) ▲0.9億円(―)
日本テレビ 1443億円(12.5%減) 82億円(537.5%増)  64億円(―)
テレビ朝日 1125億円(10.1%減) 17億円(35.4%減)  10億円(16.8%減)
テレビ東京 522億円 (12.5%減) 15億円(506%増)  10億円(―)
注:フジテレビはフジ・メディアホールディングス、TBSはTBSホールディングス、カッコ内―は比較できず

 新聞、出版の紙メディアも苦境に喘いでいる。11月に日本ABC協会が発表した2009年4月~9月の上期の新聞発行部数は、考査対象77紙合計で4471万1617部。2年前と比べ、80万部以上も減少した。

 部数減以上に、広告収入の落ち込みが激しく、各社は抜本的な経営の立て直しを余儀なくされている。2008年度決算で15年ぶりの赤字となった毎日新聞は11月末、全国の独自取材網を一部切り崩し、58年ぶりに共同通信に加盟、事実上の地方紙連合入りを決めた。

 11月に公表された朝日新聞の2009年9月期中間連結決算は、売上高が13.7%減の2327億円と、5年連続の減収。最終損益はマイナス36億円と、中間期としては2年連続の赤字となった。

 次々と露呈する厳しい現実。米国のメディア業界は、日本以上に激しい暴風にさらされている。それは、既存メディアの役割を、インターネットや携帯電話のサイトが取って代わったという単純な話ではない。

グーグルは既存メディアの直接の敵ではない

 百花繚乱のネットメディアだが、既存メディア大手がネット事業で黒字化を達成した例は、米国も含めて雀の涙。ネットにシフトすればいいという問題ではない。年間2兆円以上もの広告収入を得る米グーグルのようなポータルサイトが既存メディアを潰したのかというと、そうでもない。

 業種・業界の垣根を越えた顧客の奪い合いを体系的にまとめた書籍『異業種競争戦略 ビジネスモデルの破壊と創造』の著者で、元ボストンコンサルティンググループのシニア・アドバイザー、早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授は、こう指摘する。

 「グーグルは広告で巨万の富を集めているが、テレビ局や新聞社からそっくりと広告主と売り上げを奪ったわけではない。むしろ、今まで広告を出したくても出せなかった無数の中小企業が主要顧客と言える。だから、グーグルは既存メディアの直接の敵ではない」

 「ただし、グーグルは、検索やキーワードに対応した『パーソナル広告』を開発し、広告の露出だけではなくクリックという行動が伴って初めて課金される仕組みを提供することで、大手の広告主に『費用対効果が測りにくく、莫大の費用がかかるマス広告に意味はあるのか』と気づかせてしまった。その意味で、グーグルの存在は大きい」

 グーグルのエリック・シュミットCEOも最近、米ウォールストリート・ジャーナル紙で「業績不振や規模縮小で不満を抱える新聞社の幹部は、責める相手を探している。ニュース記事と合わせて表示される広告の収入は、グーグルの売上高全体からすれば、ごくわずか」とコメントしている。

ルールもプレイヤーも定義も何もかもが変わった広告

 大辞林によると、「広告」とは、「人々に関心を持たせ、購入させるために、有料の媒体を用いて商品の宣伝をすること」とある。従来、テレビや新聞など、より多くの人間を掴んだマスメディアに露出した広告が、一番、効率的だとされてきた。だが今では、広告主の企業でも誰でもネット上に媒体(=メディア)を作ることができる。

 「No more spray and pray」――。米コカ・コーラのアトランタ本社のマーケティング部門では、こんな標語が飛び交っているという。「闇雲に広告を噴霧して、当たるのを祈るのはもうやめよう」というメッセージだ。自前メディアの育成を目下の主要戦略に据えている。

 素人の大学生が書いたブログの一言が、テレビCMよりも大きな影響を与えることもある。広告と販売促進の垣根が曖昧になり、大小、手法が違うさまざまなメディアが生まれ、何が広告に成り得るのかすら分からない、混沌、混濁とした時代となった。

 大メディアに吹き荒れる経営危機の嵐。その要因は、ネットや携帯電話の普及によって、広告ビジネスのルールもプレイヤーも定義も何もかもが変わってしまった、ということに尽きる。

 カオスのメディア、カオスの広告――。グーグルの成功は、新しい時代の解の1つに過ぎない。メディアビジネス、広告ビジネスを取り巻く状況は日々、目まぐるしく変化している。

 「広告=企業と消費者とのコミュニケーション」だという原則に立ち戻り、その奔流の「尖った話」を追いかける。

(文中敬称略)

 180年前の天保元年に創業された有田焼の老舗、しん窯の6代目当主、梶原茂弘はその日、遠方から訪ねて来た大勢のお客を前にして、涙をこらえることができなかった。

 「はーい、今日はようこそ、遠いところからお越しくださりました。それでは絵付けや窯を見ていただく前に、簡単に自己紹介からさせていただきたいと思いまーす」

 今年65歳になった梶原は、そう陽気にバスツアーでやって来た60人ほどの客人を迎え、名乗り、窯の概要を話し始めた。そのうちに、万感の思いがこみ上げ、仕方がなくなった。

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「有田焼の老舗を救った携帯ゲーム」の著者

井上理

井上理(いのうえ・おさむ)

日経ビジネス記者

1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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