私がスタンフォード大学のビジネススクールで学び始めてから、はや1年半が経過しようとしている。シリコンバレーのCEO(最高経営責任者)のもとへも気軽に出向くことができ、海外で評価が高い教授や大企業の経営者達からも世界の趨勢を学び、日々、自分が生まれ変わるのを感じてきた。
全く面白い時に留学したものだ。2008年9月にリーマンショックが起きてからの1年間、シリコンバレーがどう変わっていくのかを自分の目で見ることができているからだ。
就職先がなくてね、日本に帰るんだってさ
さて、シリコンバレーでは今、どのような「空気」が流れていると思われるだろうか。
よく日本にいる友人から「さすがにシリコンバレーもめちゃくちゃなんじゃない? 私の先輩もビジネススクールを卒業して、シリコンバレーで仕事を探していたんだけど、結局、就職先がなくてね。日本に帰るんだってさ。大変ね〜」と言われる。
確かにシリコンバレーはめちゃくちゃだ。例えば、全米ベンチャーキャピタル協会によると、米国におけるベンチャーキャピタルの投資額はリーマンショック以降、大幅に落ち込んでいる。
2008年第2四半期に74億4300万米ドルだった投資額は2009年第1四半期には33億2000万ドルまで激減し、第3四半期には回復傾向を見せるものの、いまだ48億ドルだ。
また、シリコンバレーの中心地で米ヒューレット・パッカード(HP)の本社もあるパロアルトの街を歩いていても、倒産した企業が去り、空きビルが並ぶ。私は「シリコンバレーは大丈夫だろうか」と心配になってくる。
しかし、私には、シリコンバレーが単に「めちゃくちゃになった」だけではないと感じている。
「『カサンドラ』の言動に注意しなさい」
まるで戦後に日本が焼け野原からソニーをはじめとした企業が次々と生まれたように、リーマンショック以降、シリコンバレーでは、大きな変化のうねりが起きているように思う。足元の不景気に嘆くよりも、何か大きな変化に無限の可能性を見出し、挑戦を始めているというべきか。
2009年にスタンフォード大学にて、グーグルのCEO(最高経営責任者)、エリック・シュミット氏が学生たちに講演をした。私はシュミット氏のあるひと言が頭から離れない。
彼はこう言った。「スタンフォードビジネススクールを卒業するのに、今ほど良い時はない」と。
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