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肥大化するつぶやきメディア「Twitter」の正体(後編)

ハイチから宇宙から、カトキチから「なう」

2010年1月22日(金)

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 「Twitter(ツイッター)」は、電子メールと同じコミュニケーションツールである。

 ツイッターが社会の何を変えるのか、あなたの生活をどう変えるのか。その解は「電子メールがどう変えるのか」という問いと同じように、一言で答えるのが難しい。「使い方次第でどうにでも変えられる」としか言いようがない。

 ただ、ブログやSNSが流行した時とは違う、メディアとしての勢いが、ツイッターにはある。

 ニュースの現場にいる一般人が、あるいはマスメディアのネタ元たる著名人が気負うことなく次々とつぶやき、ユーザーに直接、伝わっている。市民記者がツイッターを舞台に活躍し、各所で文字による実況や映像の生放送も行われている。

 取るに足らないつぶやきは時間の経過とともに沈み、価値があると評価されたつぶやきは、口コミによって次々と拡散して、浮上する。

ツイッターはメディアビジネスの究極の中抜き

 つまり、情報の発信者と受信者をダイレクトにつなげ、情報の評価や加工、伝播といった、マスメディアが担ってきた作業すらも、同じツイッターというプラットフォームの中で行われている。

 そこでは、ほとんど金銭の授受は発生していない。言い換えれば、メディアビジネスの究極の中抜きが、ツイッターというフラットで民主的な世界で、起きているのだ。

 「中」とは、言うまでもなく、既存マスメディアを担うメディア企業。そして、その収益を支える広告主である。

 では、既存のメディア産業に広告宣伝を委ねてきた企業は、新たな巨大メディアとどう付き合えばよいのだろうか。(文中敬称略)

前編からお読みください)

 豊年の瑞なのだろうか。60回目となる紅白歌合戦の第1部が終わろうとする頃には、庭に雪が積もり始めていた。

 冷凍うどんで有名な加ト吉のコーポレートコミュニケーション部の部長として引き抜かれてから丸2年。48歳を迎えた末広栄二は、妻と2人の娘を連れ、母親が住む栃木県那須塩原市の実家を訪れていた。

 女性たちはこたつを囲んで和やかに紅白を観戦している。だが末広だけは、気を抜けない。妻と娘は慣れているが、母親は訝しむ。

 「あんた、何してるの?」「いや、ちょっと…」

 どうしても、傍らに置いたノートパソコンが気になる。画面に映し出されているのはツイッターだ。紅白歌合戦を見ている無数のユーザーのつぶやきが、凄まじい速度で流れている。

 ツイッターには、掲示板のように同好の士が集まることができる「ハッシュタグ」という機能がある。紅白歌合戦のハッシュタグは、「#kouhaku」。閲覧したければ、その文字列を検索すればよく、参加したければ文字列をどこかに加えてつぶやけばよい。

 さすが国民的な締めの行事だけあって、「#kouhaku」のタイムラインの流れは速い。タイムラインとは時間軸と条件に沿ったつぶやきの一覧を指す。それを追いながら、末広は機をうかがっていた。

 チャンスが訪れたのは、テレビの中でも雪が舞った時だった。

紅白歌合戦の最中に珠玉のつぶやき

 初出場を果たし、大ヒット曲「粉雪」を熱唱したレミオロメン。曲が「こなーゆきー」と盛り上がるサビに差し掛かると、末広はすかさず、キーボードを叩いた。

 「かとぉぉぉぉぉきちぃぃぃぃ #kouhaku」

末広栄二氏が紅白歌合戦の最中に投稿したつぶやき
画像のクリックで拡大表示

 レミオロメンが歌った20時44分からの3分間だけで「#kouhaku」には467件、1秒あたり2.6件もの投稿が集中し、人気ぶりを見せつけた。サビに合わせた「こなぁぁぁぁゆきぃぃぃぃ」といったコメントが、弾幕のように放たれる。

 その中で、紅白のタイムラインを追っていたユーザー数万人に送られたつぶやきは、明らかに異彩を放っていた。発信源は、末広個人のアカウントではなく、加ト吉の公式企業アカウント「KATOKICHIcoltd」である。

ツイッターの向こうにいるユーザーとやり取りするテーブルマークの末広栄二氏
画像のクリックで拡大表示

 「吹いたw」「これが最優秀歌唱w」「加ト吉に惚れましたww」「かときちの人気に嫉妬w」「あの流速の中で拾ってもらえるコメントをした中の人には特別報奨金を出しても良いと思うw」

 直後、100人以上が、絶賛のコメントとともに、コピーを張って他人につぶやきを広める「RT(リツイート)」をし、さらに末広のギャグを拡散させた。川中美幸、森進一と曲が進んでも、不意を突かれたユーザーたちの興奮は冷めやらない。

 末広は「粉雪を大雪にしてしまった」「カトキチは味に深みがございます」などとつぶやき、第2部でPerfume(パフューム)が登場した21時38分、二の矢を放った。

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「肥大化するつぶやきメディア「Twitter」の正体(後編)」の著者

井上理

井上理(いのうえ・おさむ)

日経ビジネス記者

1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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