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JAL再建計画に信憑性なし

2010年1月26日(火)

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京セラの稲盛和夫・名誉会長が日本航空の会長に就任、再建の陣頭指揮を執る。カリスマ登板の背景は民主党との絆。体裁優先で、効果的な経営体制は二の次か。再建計画も実は形式的な内容で、再生は怪しい。2次破綻も視野に入ってきた。

 会社更生法の適用を申請した日本航空の会長職に、京セラ創業者の稲盛和夫名誉会長が就任を内諾した際、メディアはこぞってその経営手腕を高く評価した。

 稲盛氏は京都のセラミックメーカーで技術者として働いていたが、1959年、27歳の時に独立して京都セラミック(現京セラ)を設立。同社を連結売上高で1兆円を超える企業に育て上げた。84年には通信の自由化をにらみ、いち早く通信事業に参入。第二電電(現KDDI)を設立し、NTTの独占体制に風穴を開けた。

 加えて若手経営者の指導にも力を入れ、同氏が主宰する経営者の会「盛和塾」には5000人超が集まる。こうした数々の実績から稲盛氏は「伝説の起業家」と持ち上げられるが、企業再建の分野でも手腕は折り紙つきだ。

会社も人も、「稲盛再生工場」

 82年には経営難に陥ったトランシーバーメーカーのサイバネット工業を吸収合併、翌83年には中堅カメラメーカーだったヤシカを取り込み、立て直した。圧巻は98年に会社更生法の適用を申請した複写機メーカー、三田工業(現・京セラミタ)の再建。企業ばかりでなく、有能な人材の再起にも一役を買っている。

日本航空の再生計画
企業再生支援機構が作成した日本航空の再生計画には「Ivy」のコードネームが記されている

 中島義雄氏。かつて旧大蔵省のエースと言われたエリートだ。しかし97年に発覚した大蔵省のキャリア官僚に対する過剰接待で同省を追われた。その中島氏を救ったのが稲盛氏だった。

 2人の接点は70年代にさかのぼる。当時、京都でベンチャー企業を創業した異能の経営者がいるという評判を聞きつけた霞が関の官僚が、その経営者を招いて定期的に勉強会を開いた。呼ばれたのが稲盛氏で、勉強会の幹事を務めたのが中島氏だ。

 それから20余年。大蔵省を退職後、米国に逃亡していた中島氏に稲盛氏が電話をかけ、京セラへの再就職を持ちかけた。過剰接待問題に対する世間の風当たりが収まっていない時期だっただけに、中島氏を京セラへ部長待遇で迎え入れる人事には批判的な声が強かったが、稲盛氏は意に介することなく「人生を出直す機会が与えられてもいい」と中島氏の再就職を実現した。

 その頃、京セラに舞い込んできたのが三田工業の再建。稲盛氏は中島氏に同社再建の陣頭指揮を執らせた。当時を知る関係者によると、中島氏は元大蔵省主計局次長の肩書を存分に生かし、相場を超える債権放棄を取引金融機関にのませ、三田工業の再建を果たしたという。

 話はこれで終わらない。上場企業の再建を達成したことでみそぎは済み、京セラの取締役に昇進できると思っていた中島氏に、稲盛氏は京セラの中国事業拡大を命じる。中島氏は中国へ渡り、もう一度、汗をかくことになった。

 その後、企業経営者としての中島氏の才覚に目をつけた船井電機の船井哲良会長(当時社長)が、中島氏を船井電機に招こうと画策。中島氏は船井氏の求めに応じて一時帰国した。稲盛氏に内密で船井氏と面会、船井入りを決めた中島氏は、怒られることを覚悟で稲盛氏に承諾を求めに行くと、稲盛氏は「人の縁は大事にしなければならない」と言って、円満退社を了承した。

 中島氏はその後、船井電機の副社長を経て、現在、セーラー万年筆の社長を務める。「稲盛さんは世間の評判を気にすることなく再就職の道を開き、かといって甘やかすこともなく、さらには新天地へ快く送り出してくれた。感謝の言葉しかない」。中島氏はかつて、こう語ったことがある。

 元エリート官僚の数奇な人生はしばしば話題になるが、その裏には稲盛氏がいた。“稲盛再生工場”は企業ばかりではなく、人材も蘇らせる。だから地に落ちたフラッグキャリアの再建に適切な1人であることは間違いない。

航空政策不在、最優先は体裁

 しかし日航再建の担い手として、民主党が稲盛氏に白羽の矢を立てた最大の理由が、こうした再生実績なのかとなるとかなり疑わしい。

 稲盛氏は民主党の後見人的な存在で、前原誠司・国土交通相の後援会長を務めたこともある。その民主党は日航再建を巡って方針が二転三転、これが原因となって政権運営がつまずく可能性も否定できない。そんな窮地を察した稲盛氏と、頼れる企業経営者の数が少ないという悩みを抱える民主党の思惑が一致した人事でしかないのではないか。

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「JAL再建計画に信憑性なし」の著者

小平 和良

小平 和良(こだいら・かずよし)

日経ビジネス上海支局長

大学卒業後、通信社などでの勤務を経て2000年に日経BP社入社。自動車業界や金融業界を担当した後、2006年に日本経済新聞社消費産業部に出向。2009年に日経BP社に復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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