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誰のための公益通報保護か

  • 鷺森 弘

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2010年1月29日(金)

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不正告発者が不利益を被らないようにする公益通報者保護法。同法の矛盾点を浮き彫りにする判決が東京地裁で下った。「抜け穴だらけ」とされる同法を見直す契機となるか。

 「原告の請求はいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」ーー。

 1月15日、東京地方裁判所。田中一隆裁判官は主文だけを読み上げると、判決理由などの朗読を省略し、足早に姿を消した。

オリンパス社員が完敗

 原告でオリンパスの現役社員、濱田正晴氏は茫然としたが、すぐに気を取り直して、控訴する方針を固めた。「私は間違ったことはしていない」。

判決後、支援者に経緯を報告したオリンパス社員の濱田正晴氏(中央)

 濱田氏によると経緯はこうだ。2007年4月、上司が取引先から、機密情報を知る社員を引き抜こうとしているのを知った。不正競争防止法に触れると懸念し、上司に直言したが聞き入れられなかった。そこで同年6月にコンプライアンスヘルプラインに通報。その回答メールが濱田氏の名前が分かる形で上司に同時送信され、同年10月、濱田氏は閑職に追いやられた。

 配置転換は内部通報への報復で不当だとして、会社と上司に対し、配転先で勤務する義務がないことの確認と、1000万円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。会社側は「上司へのメール送信は濱田氏も了解済み。異動は本人の適性に応じたもの」と主張していた。

 判決理由は冷徹だった。

 「配転命令による原告の不利益は、賞与減額を前提にしても、わずかなもので、会社の命令が報復目的とは認定しがたい」と判断。さらに、「原告は不正競争防止法について言及していない」「通報内容で、会社側は不正競争防止法については認識していなかった」として、濱田氏は公益通報者に当たらないとしたのである。

 会社側は今回の判決を受け、「当社の主張が全面的に認められた妥当な判決」(広報・IR室)とコメントした。

 なぜ、会社側の言い分が通ったのか。

 背景には保護要件の厳しさがある。判決では、内部通報の内容について「具体的に誰のどのような利益を損なうのか明らかでない」とした。公益通報の対象は同法が示す法律上の犯罪行為となっており、通報者がその関係性を説明しなければならない。消費者行政や内部通報問題に詳しい中村雅人弁護士は「弁護士でも難しい法律的判断を通報者にできるわけがない」と強調する。

 外部通報もハードルが高い。通報先は(1)事業者内部の窓口(2)処分権限がある行政機関(3)マスコミや消費者団体など外部機関ーーと規定されている。(1)では通報すべき事実が生じたり、生じようとしていると「思料する場合」でも保護される。「怪しい」と思っただけで通報してもいいのだ。

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