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「アバター」が映すアメリカの苦悩

気高い「野蛮人」に憧れる野蛮な「文明人」

  • 竹中 正治

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2010年2月4日(木)

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 人気のSF映画「アバター」。もうご覧になった読者も少なくないだろう。1997年の話題作「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督が、3次元映像技術を練り上げ、12年ぶりに放った大作だ。前評判通りの超話題作となった。

我々は「野蛮な文明人」なのかという自問

 この映画を見て、私はすぐにケビン・コスナー主演・監督の映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990年)を思い出した。19世紀半ばのアメリカ西部を舞台に、フロンティアで遭遇したインディアン部族に惹かれていく騎兵隊中尉を主人公にした物語である。

 19世紀当時、「野蛮」「未開」のイメージ一色のインディアン部族が、実はスピリチュアルな文化を持ち、気高い人間であることが描かれる。一方で「文明人」である白人の粗野、野蛮さが際立つ。

 検索してみたら、アメリカの映画好きブロガーたちも「アバターはダンス・ウィズ・ウルブズのSF版(Dance with Wolves in Space)だ」と評している。アバターに描かれた地球軍は明らかに米軍のイメージであり、破壊的でかつ金儲けの手先となっている。アメリカではこの点が大いに気にいらない方々もいるようだ。

 米ワシントンポスト紙(電子版)に寄せられたコラムの中には、「世界がテロリストの脅威にさらされ、アメリカがそれと戦っている時に、この映画はイラクやアフガニスタンで跋扈(ばっこ)するテロリストに加勢しているようなものだ」と批判するコメントが見られた。どこの国にもそうした政治的視野狭窄症の方はいるものだ。

 ところで、双方の映画に共通するテーマとして、野蛮な「文明人(白人)」vs.気高い「野蛮人」の構図は、実はダンス・ウィズ・ウルブズが初めてではないのだが、何を意味するのだろうか。アメリカ人の悔恨だろうか。第1にその点を考えてみよう。

 アバターにはダンス・ウィズ・ウルブズにはない際立った要素もある。それはこの映画が今日のアメリカ人の琴線にふれるヒーロー像を提供していることだ。戦場で傷つき下半身不随となった元海兵隊員の主人公ジェイクは、戦後の幾多の戦争、軍事行動で傷ついた今日のアメリカの姿を象徴しているように私には見える。第2にこのことの含意を考えてみる。

ベトナム戦争が転換点

 1950年代、60年代の西部劇に登場するインディアンのイメージは、「野蛮人、未開人」であり、西部を開拓する白人の敵としてひたすら撃ち殺される存在でしかなかった。(「ネイティブ・アメリカン」と言うべきなのだろうが、本稿では旧い通例に従って「インディアン」と呼ぶ)

 そうしたインディアンと白人のイメージに画期的な変化をもたらしたのが1970年の映画「ソルジャー・ブルー」だ。ソルジャー・ブルーとは白人の騎兵隊員のことである。インディアンの襲撃を受けて生き残った白人の娘クレスタがヒロインで、彼女はインディアンの酋長の庇護を受けて育つ。彼女が再び白人の世界に戻る途中で若い騎兵隊の青年ホーナスと一緒になる。彼はインディアンに父を殺され、彼自身インディアンに襲われた生き残りとなり、復讐に燃えている。この2人を軸に物語は展開する。

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