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今後の住宅市場を考えれば、「ロケーションのよい中古物件」がイチバン

「賢く買って、賢く作った」井形慶子氏の場合

2010年2月5日(金)

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 2009年の新設住宅着工戸数は78万8410戸にとどまった。新築供給が80万戸を下回ったのは1964年以来、45年ぶりのことだ。これまで、40年以上も100万戸を超える大量供給が続いていた。だが、雇用不安や所得減少、世帯数を大幅に上回る住宅ストックの現状などを考えれば、かつてのような“100万戸時代”に戻ることはないだろう。

 こうした時代の地殻変動を受けて、2月8日号の日経ビジネスでは、「理想の住まいは私が作る」という特集を組んだ。中古物件をリーズナブルに購入し、賢く理想の住まいを作っている人々のリポートだ。これからの時代、既存ストックを賢く活用する発想が生活者にも企業にも求められる。この動きは、一過性のブームではない広がりを持つ。

 今回の特集に関連して、企業経営者や識者のインタビュー、実際に住まいを作った人々のケーススタディなどを4回にかけて連載していく。1回目の今回は東京・吉祥寺の築35年のメゾネットを500万円で購入し、200万円をかけてロンドンフラットに改造した井形慶子氏だ。


(聞き手、日経ビジネス オンライン、篠原匡)

 ―― 『老朽マンションの奇跡』を読みました。JR吉祥寺駅から徒歩数分、築35年の古いメゾネットを500万円で取得し、200万円でお洒落名ロンドンフラットに作り替える――という話は家探しをしている私自身もかなり参考になりました。

初めての一人暮らしは賃料1万円の納屋だった

井形慶子(いがた・けいこ)氏
長崎県生まれ。大学在学中から出版社でインテリア雑誌の編集に関わる。その後、28歳で出版社を立ち上げ、英国の生活をテーマにした情報誌「ミスター・パートナー」を発刊した。出版社経営のかたわら、90回を超える渡英経験を通じて多数の著書を書き下ろしている。2009年11月には築35年のメゾネットのリフォームの顛末を描いた『老朽マンションの奇跡』(新潮社)を上梓した。不動産を見て回ることが趣味という
(写真、村田和聡、以下同)
画像のクリックで拡大表示

 井形 ありがとうございます(笑)。本の中で触れたように、あの明星ハイツを作ろうと思った発端はうちの社員の“ハヤト君”をまともな家に住まわせたかったからなんです。今の若い人は皆そうだと思いますが、東京で家を借りて仕事をするにはかなりの支出を伴う。ハヤト君の場合、光熱費を含めて給料の半分が消えていました。若い人がそこそこの家賃で人間らしく暮らすことは不可能なんですよね。

 ―― 都心だとワンルームでも7~8万はザラ。もう少し安いところに住もうと思うと、通勤に時間がかかる。なかなか家賃と通勤時間のバランスを取るのは難しいですね。

 井形 そうでしょう。若者が結婚や出産、仕事といった大事な決断をする時、住宅は絶えずネックになります。安い公団には簡単に入居できないし、高い家賃も払えない。パートナーが見つかっても、狭い部屋で一緒に住むか、通勤時間を犠牲にして遠くに住むしかありません。住まいに苦労しているハヤト君を見て、理想の住まいを安く作れないか、という想いが強くなってきたんですね。

 あと、今回の「明星ハイツプロジェクト」は、私自身が住まいに苦労してきたという経験も大きいですね。私は大学進学を機に、長崎から東京に出てきたんですが、はじめの家は神奈川県の郊外にある賃料1万円の納屋でした。納屋の2階に畳が強いてあるだけ。もちろん、風呂などありません。風呂はもらい湯、洗濯は家主に洗濯機を借りる生活でした。

 ―― 壮絶な一人暮らしですね。

 井形 とにかくお風呂つきの家に移りたくて・・・。その後、出版社に勤めたことで、憧れの下北沢に引っ越すことができました。ただ、お風呂はついていましたが、約四畳のワンルーム。当時の友人から「牢獄のような部屋だね」といわれて、家に帰るのが嫌になりました。家に帰りたくないという感覚を初めて実感しましたね。

お金をかけずに理想の住まいを持つ方法とは

「住みたい街NO.1」としてしばしば名前があがる東京・吉祥寺。不動産価格も高いこの町で、築35年のメゾネット(借地権)を500万円で取得し、200万円のリフォーム費用をかけてロンドンフラットに作り替えた物語。不動産に対する井形氏の考え方、リフォームの苦労、中古住宅の可能性がうまく描かれている。

 井形 このように、私自身が理想の住まいを持てなかったということもありますし、おかしな部屋に住むと生活自体がおかしくなるということを自分自身が実感しているので、若い人が給料からごっそり家賃を搾取されていく現実とか、大家さんを太らせるために働いているような感覚がわかるんですよね。

 ―― それで、中古物件を安く購入し、理想の住まいに作り替えるというプロジェクトを進めたわけですか。

 井形 そうですね。あとは英国での体験もあります。私は19歳から80回以上、イギリスに行きましたが、イギリスの労働者階級は果敢に老朽物件や廃屋を改装し、理想の住まいを作っているんですよね。こういうお話をすると、「高温多湿の日本とは住宅事情が違う」という批判を受けますが、私は「お金をかけずに理想の住まいを持つ」というコンセプトのところを学びました。

 ―― トンカチを叩いて自分で改造するんですね。

 井形 そう、大工仕事が少しできる知り合いや友人を呼んできたり、ホームセンターでキッチンのシンクやフローリングの床材を購入したり。イギリスの場合、家を解体した時に出る部材などがマーケットに売っているんですね。ホームセンターに行っても、キッチンとシンクがばらばらに売っていて、各ユニットが2~3万円から買える。そのまま車に積んで帰って、すぐに自分たちでリフォームできるんですよ。

 ―― ホームセンターの役割が日本とは少し違うようですね。

 井形 日本でも、もう少しばらばらに売るようになればいいのでしょうけど。

 ―― 明星ハイツのプロジェクトでは、何が大変だったのでしょうか。

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「今後の住宅市場を考えれば、「ロケーションのよい中古物件」がイチバン」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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