米グーグルが日本市場でネット広告配信を強化する。過去の契約を解きほぐすのに、約2年の時間を要した。泥臭い粘りは、国内に君臨するヤフー追撃への執念を映す。
世界最大の動画投稿共有サービス「YouTube」の買収額(16億5000万ドル)を優に超える31億ドル(約3000億円)を投じてまで、米グーグルが手に入れたかったもの。それはインターネット広告配信ソリューション「DART」で強さを誇る米ダブルクリックだ。
今やネット界の王者とも言われるグーグルだが、その広告収入の大半は、検索時に表示されるテキスト(文字)広告。成長戦略を描くうえで、個人の好みに合ったディスプレー(画像や動画)広告を配信する「DART」は何としても手に入れたい武器だった。
大型買収の認可も、「日本を除く」

そのために大型買収に動き、2008年3月、欧州委員会の承認をもって手続きを無事、完了した。唯一、日本を除けば、の話だが。
グーグルは2010年3月31日、念願のDART事業を日本でも手に入れる。「ようやくディスプレー広告市場で高いシェアを持つヤフーを追撃できる」とグーグル日本法人の有馬誠・専務執行役員は意気込むが、盛衰の激しいネット業界で2年という時間は手痛い。
なぜ日本市場だけ時間を要したのか。その理由は、過去から引きずってきた契約の存在だ。ダブルクリック日本法人が設立されたのは1997年。米ダブルクリックは設立時、日本法人に対してDARTの独占的ライセンス契約を供与した。併せて、日本法人の親会社であるトランスコスモスと、お互いに類似の競合サービスを提供できない「競業避止義務契約」も締結した。
つまり、グーグルが米ダブルクリックを買収しても、日本ではトランスコスモスと競合するサービスを提供できないということだ。
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