「The Report」

ミシガン州を次世代電池の首都に

行動派の女性知事が語る大転換戦略

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2010年2月5日(金)

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 本格的に市場投入が始まった電気自動車(EV)。2009年に発売された三菱自動車のEV「アイミーブ(i-MiEV)」を皮切りに、日産自動車が今年から日米欧の市場に投入する「リーフ」や、中国の自動車メーカーBYD(比亜迪汽車)が2010年内に米国市場に投入すると発表した「e6」など、EVは急速に進化し始めている。

 日経ビジネスでは、2010年2月1日号で、「電気自動車の乱」と題した特集を企画した。環境への配慮が義務になりつつある時代。二酸化炭素の排出を削減するために、クルマの電動化は避けて通れない。その変化に日本勢はどう挑み、また追従する諸外国はどのような動きを見せているかを紹介した。日経ビジネスオンラインでも、それに関連した内容を紹介していく。

 3回目は、米ミシガン州のジェニファー・グランホルム知事(民主党)。ミシガン州は、自動車の町「デトロイト」を擁し、かつて「ビッグスリー」と呼ばれたゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの本拠地である。州内には約2500社もの自動車部品メーカー(サプライヤー)や300以上の技術研究センターなどが集積している。

 ビッグスリーの凋落は止められないが、HEV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)に搭載するための電池に照準を絞って集中的に投資すれば、過去の蓄積を最大限に生かしながら産業構造を転換できるかもしれない──。そう判断して、自動車用電池の開発・製造を州の重点投資分野に選んだのが2006年のことだ。

 デトロイトの衰退を止められるのか。北米国際自動車ショーの会場で独占インタビューした。

 ── ミシガン州の標語は「トランスフォーム(大転換)」だと聞きます。何を壊して、何を新しく作ろうとしているのですか。

米ミシガン州のジェニファー・グランホルム知事(写真:丸本 孝彦)
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 グランホルム ミシガン州は過去100年間にわたって、自動車産業で成り立ってきました。しかし、長い時間をかけて衰退してきた米自動車産業はついに倒壊するところまでいってしまいました。過去の自動車王国をそのまま復活させようとしても無理でしょう。積み上げてきた土台を生かしながらも、もっと多様な産業の基盤を作っていかなければならない。ミシガン州は大きな曲がり角に立たされているのです。

 ミシガン州経済開発公社(MEDC)が集中的に検討しました。専門家を集めて、意見を聞き、ミシガン州はどの産業分野に移行していくべきなのかをです。この地域の歴史や地理的条件なども考慮に入れました。そして最終的に絞り込まれた6分野のうちの1つが「最先端製造業」であり、もう1つが「代替可能エネルギー」でした。

600億円を超える税控除

 そこから必然的に行き着いたのがHEVやEV用の「次世代電池」です。2006年に自動車用電池の開発・製造を州の重点投資分野に選びました。自動車産業の蓄積も生かせますし、応用領域は自動車以外にも広がります。

 昨年(2009年)の北米国際自動車ショーでは約7億ドル(約637億円)の税控除措置法に私自身が署名しました。次世代電池産業をこのミシガン州に誘致するためです。

 そして、州の動きに呼応するように連邦政府も動き始めたのです。バラク・オバマ政権は2009年8月に「米国再生・再投資法」に基づいて約24億ドル(約2200億円)の補助金を次世代電池の開発プロジェクトなどに投じましたが、そのうちの約6割がミシガン州内の研究・開発や工場建設、大学の講座創設など12プロジェクトに振り向けられたのです。

 州政府の税控除と連邦政府の補助金が“結婚”したことによって、ミシガン州はとても魅力的な場所になりました。最先端電池の分野で、北米、願わくば世界のキャピタル(首都)にしたいと思っています。

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著者プロフィール

水野 博泰(みずの・ひろやす)

日経コミュニケーション記者、日経E-BIZ副編集長、日経ビジネス編集委員、日経ビジネスオンライン副編集長を経て、2008年4月よりニューヨーク支局長。



このコラムについて

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