日本企業を対象としたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で初めての本格的な清算作業「オークション」(入札)が近く実施される。昨年12月に事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)が成立した消費者金融大手アイフルのCDSがそれだ。
ただ、一部からは清算決定の過程について不満の声も上がる。こうした一方、金融庁はCDSについて国内機関への清算集中を義務づける制度整備に乗り出した。
国際的に見ても大きかった取引規模
一昨年秋の世界金融恐慌のクライマックスとなった米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の救済劇。巨額の公的資金投入の背景にあったのがCDS問題だった。AIGが抱えていたCDSの想定元本は実に数十兆円規模。AIGが破綻すれば、複雑に絡み合った巨大な取引が決済不能となり、ほかの金融機関に破綻が連鎖する――そんな最悪のシナリオを米政府は恐れたのだ。
以来、CDSは金融グローバリズムが生み出した一種の“妖怪”のように、世間で受け止められるようになった。
CDSは、企業など参照組織の信用リスクを取引するデリバティブ(金融派生商品)だ。具体的には、社債やローンの元本を保証するプロテクション(一種の保険)が相対で売り買いされる。信用リスクが高ければ、プロテクションのプレミアム(保険料)も高くなる。
ただし、プロテクションの買い手は参照組織に対する債権を実際には持っていない場合も多く、CDS価格の上下を狙った投機的な取引も多い。例えて言えば、企業の倒産確率をネタにした“丁半博打”である。
参照組織の倒産などクレジットイベント(信用事由)が発生した時、CDSは当事者間で決済が行われる。プロテクションの買い手に“保険金”が払われるわけだ。ただし、金融機関はリスクヘッジのためにCDS取引を売り買い両建てで行っていることが多い。前の契約のリスクを軽減するため、新たな契約を結ぶわけである。
このため、CDSの契約本数は積み上がるだけ積み上がり、結果、想定元本も膨らむだけ膨らむ。各地で個々バラバラに契約は存在し、売り手と買い手も錯綜するため、最終決済にはそれらを一堂に集めて清算しなければならない。それがオークションである。現金による差金決済が基本だ。
世界中のCDSに関する情報を集約している米国の証券保管振替機関DTCCの公表データによると、全世界に存在するアイフルのCDS契約は5739本。それらの想定元本はすべて積み上げたグロスで210億ドル(約1兆8900億円)、売り買い相殺したネットでも13億ドル(約1170億円)に上る。
日本企業のCDSとしては最大級で、国際的に見ても取引規模は上位に位置する。それら絡まり合った契約の塊を解きほぐして関係者間で“ゲーム”の分配金をやりとりする作業が始まるわけである。
ここで不思議なのは、倒産したわけでもなく、上場も維持しているアイフルがなぜクレジットイベントと認定されたのか、である。CDSのクレジットイベントには3種類あるが、破産や支払い不履行以外の「リストラクチャリング」は概念が幅広い。今回、アイフルはこの「リストラクチャリング」に該当すると認定されたわけだが、その過程は今日の金融グローバリズムの特質を凝縮しており、大いに興味をそそられるものだ。
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