「若きキャリア官僚たちの春2010」

霞が関にはお礼の電話が滅多にないから嬉しい

【第16回】厚生労働省 山田章平氏《前編》

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2010年2月8日(月)

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佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 年金未払いや子ども手当、インフルエンザ対策など厚生労働省には喫緊の課題が山積みです。一方で、長期的には少子高齢化社会を支える制度基盤を作る取り組みも欠かせません。

 高齢化は日本だけの問題でなく、先進諸国、さらにいずれは新興国でも同じような状況を迎えます。世界に先んじて高齢化が進んだ日本が経済成長と社会保障を両立する仕組みができれば、それは世界の政策モデルになる可能性を秘めています。厚労省が関わりを持つ対象は実に幅広いのですが、その中で山田さんはどんな分野を担当されているのでしょうか?

山田 章平(やまだ・しょうへい)氏
東京都出身。東京大学法学部卒業後、1998年、厚生省(現・厚生労働省)に入省。墓地行政からスタートし、医療保険制度、社会福祉、DV(配偶者暴力)対策を担当。環境省出向時には、環境税の導入検討に携わる。現在は、社会保障全般を担当しており、税財政と社会保障について担当している。
(写真:佐藤ゆみ)

山田 章平(以下、山田) 社会保障全体の取りまとめる部局にいます。社会保障とは大まかに言うと、医療、介護、年金、雇用、生活保護、障害者福祉などです。それらの分野はそれぞれに担当する局があって、それぞれの局の担当者が必死に考えて制度立案に取り組んでいます。

 ただ、それぞれの制度ごとに合理的でも、全体としてうまく行かないことがあります。医療分野で保険料が上がり、介護分野で保険料が上がり、年金の給付は下がる。制度の側から見れば、それぞれの制度の負担と給付のバランスを考えてやっているのだけど、国民・生活者の立場にしてみると、同じ人が負担をし、給付を受ける。

 社会保障全体の取りまとめの観点から仕事をするということは、国民・生活者の立場から見て、厚生労働行政を考えることだと思っています。

やるせないケースと関わっていきたい

佐藤 厚労省は中央省庁の中でも世間から叩かれることが多い役所だと思いますが、どうしてこの職場を選ばれたのですか。

山田 私がこの仕事を選んだ一番の理由は、誰のせいでもないのに大変な思いをしている人と関わっていきたいという思いからです。難病を煩っている、障がいを持っている、交通事故に遭ったなど、自分のせいではないのに、大変な思いをして暮らしている方と関わった仕事をしていきたいと思います。

 自分のせいではないのに、ちょっと運が悪いと、歩くことも難しくなる、おいしいものも食べられなくなる、勉強をすることもできなくなる。支え合いの社会の一員でいたいのに、常に支えられ続ける立場になる。そして、成人になっても、恋愛や子育てもできないという社会は嫌なのです。

 それは自分のせいでもなく、ましてや親のせいでもない。不況と言えども、世界中でトップクラスに豊かな日本で、ちょっと運が悪いと、いわば人生ゲームのイベントが大きく減ってしまうのです。それがやるせない。役所が困っている人を助けてあげるという上からの目線ではなくて、とにかく関わっていきたいと思っています。

佐藤 やるせないケースは多々ありますよね。日本は学校教育の場でも職場でも、ノーマライゼーション(等しく生きる社会の実現)が欧米に比べると遅れています。

山田 日本では、障がい学級のように障がいを持っている子供だけで集めた教室を作りがちです。その方が効率いいのかもしれませんし、障がいを持った児童の親はその方が安心かもしれません。

 しかし、障がいを持っている人も持っていない人も、同じ教室にいて、世の中には自分と異なるいろいろな個性の人がいるということを小さな頃から身に感じて育つことがノーマライゼーションの芽につながるのだと思います。

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著者プロフィール

佐藤 ゆみ(さとう・ゆみ)

佐藤 ゆみ政治アナリスト、マナー・礼法講師。札幌市出身。米国ルイス&クラーク大学留学、政治学・国際関係を学ぶ。帰国後、総合広告代理店にプランナーとして勤務。その後、衆議院選に出馬。政策担当秘書として国会議員の各種政策立案に携わる。現在、INTEGRACE(インテグレース)代表。企業・個人を対象に印象マネジメント、営業・接遇マナー、時事研修を実施中。ハリウッドビューティサロン「美人講座」講師。政治を切り口にしたコンサルティング・研修には定評がある。ウェブサイト「人を動かすマナーの法則」連載。



このコラムについて

若きキャリア官僚たちの春2010

税金のムダ遣い、縦割り行政の弊害、天下りの横行・・・。様々な批判が浴びせられる官僚たち。政権を担う民主党はマニフェストで「国家公務員の総人件費を2割削減する」と掲げた。日本の高度成長を支えた官僚の後輩たちは、どんな現状認識を抱いているのか。そして、国家運営に対する志は残っているのか。生の声から探っていく。
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若きキャリア官僚たちの秋2009

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