「理想の住まいは私が作る」

「リノベーション」と「リフォーム」の違い、分かります?

業界大手が語る、“リノベマンション”人気の裏側

バックナンバー

2010年2月9日(火)

1/4ページ

印刷ページ

 2009年の新設住宅着工戸数は78万8410戸にとどまった。新築供給が80万戸を下回ったのは1964年以来、45年ぶりのことだ。これまで、40年以上も100万戸を超える大量供給が続いていた。だが、雇用不安や所得減少、世帯数を大幅に上回る住宅ストックの現状などを考えれば、かつてのような“100万戸時代”に戻ることはないだろう。

 こうした時代の地殻変動を受けて、2月8日号の日経ビジネスでは、「理想の住まいは私が作る」という特集を組んだ。中古物件をリーズナブルに購入し、賢く理想の住まいを作っている人々のリポートだ。これからの時代、既存ストックを賢く活用する発想が生活者にも企業にも求められる。この動きは、一過性のブームではない広がりを持つ。

 今回の特集に関連して、企業経営者や識者のインタビュー、実際に住まいを作った人々のケーススタディ、住宅産業のあり方などを4回にかけて連載していく。今回はリノベーションマンションを手がけるインテリックスの山本卓也代表。同社は2009年5月期に1400戸のリノベーションを販売した業界大手である。山本代表は、昨年発足したリノベーション住宅推進協議会の代表も務めている。中古マンション人気とともに、注目が集まるリノベーション物件の実情を聞いた。


(聞き手は 日経ビジネス、蛯谷敏)

 ―― ここ数年の中古マンションブームで、「リノベーションマンション」の存在も随分と認知されてきたように思います。供給するデベロッパーの立場からはどう見ていますか。

山本卓也(やまもと たくや)氏
1954年3月生まれ。95年7月、ブレスタージュ(現インテリックス)設立。中古マンションの買取り再販事業を手がける。2005年4月ジャスダック上場。2009年7月、リノベーション物件の流通を促進する目的で設立したリノベーション住宅推進協議会の会長に就任(写真:的野 弘路、以下同)
画像のクリックで拡大表示

 山本 言葉としては、だいぶ市民権を得られるようになってきましたね。僕が「リノベーション」という言葉を使い始めたのは、かれこれ8年、9年ぐらい前ですから、まあ時間はかかりましたかね。

 それまで、リノベーションはほぼ「リフォーム」と訳されていたのですが、実はあれは間違えた言葉の使い方なんですよ。

 ―― そうなんですか。

 山本 リフォームというのは、正確に訳すと「作り直す」という意味になります。例えば洋服なんかが分かりやすいと思いますが、糸をほどいて、もう1回作り直す場合などにリフォームする、なんて言います。一方、住宅の改装は全部作り直すわけではないですから、本当はリノベーションが正しい言葉なんですよ。

 なぜこんなことになったかというと、これは日本と海外で建物に対する見方がそもそも違うことに由来しています。

 ―― 見方ですか。

 例えば、マンションの場合は、大まかに言えば「躯体」と呼ばれるコンクリートや鉄でできた外枠の部分と、「インフィル」と呼ぶ内装部分の2つで構成されています。

 欧米の場合は、これらは別々のものとして分けて考えます。それぞれ使う素材が違うため、耐用年数が全く異なるからです。躯体のコンクリートや鉄筋は、欧米では200〜300年も持つという認識ですから、内装部分だけを定期的にメンテナンスさえすれば、住み続けられるという考えが定着しています。余談ですが、トルコのカッパドキアなどでは、大昔の洞窟に今も人が住んでいます。中のインフィル部分を定期的に改装して、いつまでも住みやすい居住空間を維持しているわけです。

 ところが、日本人はこうした分け方を、これまでほとんどしてきませんでした。躯体と内装をセットで考えてきた。だから、内装がダメになると、躯体までダメだと思ってしまうんです。極端な言い方をすれば、給排水管がダメになったらマンション全体も、もうダメだとなる。だから、リフォーム(=すべて作り直し)が必要だ、という発想に行き着いたんでしょうね。

 ただ、そうした認識はここ数年随分と変わりました。中古マンションブーム、そしてリノベーションブームによって、ようやく欧米のような考え方が広がってきたのではないでしょうか。

 ―― 確かに、都心部では中古マンション市場が活況です。ずばり、今は中古の買い時なのでしょうか。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント1 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

蛯谷 敏(えびたに・さとし)

2000年、日経BP社入社。通信業界誌『日経コミュニケーション』記者を経て、2006年より日経ビジネス記者。情報通信、ネット、金融、不動産、政治、人材など色々担当。「一極集中」から「多極分散」へと移り変わる様々な事象をテーマに日々企画を考えている。



このコラムについて

理想の住まいは私が作る

2009年の新設住宅着工戸数は78万8410戸にとどまった。新築供給が80万戸を下回ったのは1964年以来、45年ぶりのことだ。この国では40年以上も100万戸を超える大量供給が続いていたが、かつてのように新築が大量供給される時代に戻ることはないだろう。これからの時代、生活者は理想の住まいをどのように手に入れればいいのか。そして、住宅に関わる企業はどこに活路を見出すべきなのか。識者のインタビューやケースで考えていく短期集中コラム

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン