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複雑化という“魔物”に苦しむ

トヨタ自動車の大失態、その奥底にあるもの

  • 藤本 隆宏

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2010年2月15日(月)

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電子化・電動化などクルマの複雑化がリコールの背景にある。
開発負荷増大に、設計・生産が苦悩するのはトヨタだけでない。
モノ作り研究の第一人者が、課題と進むべき方向性を説く。




藤本 隆宏(ふじもと・たかひろ)氏
1979年東京大学経済学部卒、89年米ハーバード大学で経営学博士号を取得。98年東京大学教授。東京大学ものづくり経営研究センター長を兼任する
画像のクリックで拡大表示

 今回の一連のリコール(回収・無償修理)問題は、結果的にトヨタ自動車の大失態というほかありません。

 しかしその原因は安易に単純化できない「複合的」なものです。まずトヨタ自身の判断ミス、組織風土の緩み、強みが裏目に出た部分があります。同時にトヨタの組織能力を超える製品・市場・生産の複雑化、グローバル化といった要因が絡み合っている。トヨタ特有の問題と、産業全体に関わる問題の両方があります。

 総じて、自動車産業における製品・事業の「複雑化」が、根本的な原因の1つだと考えています。トヨタの開発・設計部門は、米国向け高級車の高度な電子化やハイブリッド車に代表される電動化に必死に対応してきましたが、今回はその複雑さに負けた形です。「開発能力の低下」というよりも「開発負荷が大きくなりすぎた」のでしょう。

根本的な問題が先鋭的に現れた

 最近のクルマの複雑化がもたらす負荷の急増が、現場の能力構築のスピードを上回っていた可能性がある。

 「組織能力と複雑化問題の相克」という、21世紀前半の自動車産業全体が抱える最も根本的な問題が、先頭を走るトヨタにおいて先鋭的に現れた。つまり、複雑化という“魔物”が、今回の問題の背景にはあります。

 恐らくは機能要件など基本設計の条件を部品メーカーに提示する承認図方式で、米部品メーカーのCTSにアクセルペダルの詳細設計を任せたのでしょう。それでもあくまで実車の部品評価を行うのは完成車メーカーです。トヨタ側の品質評価能力が不足していた可能性があります。

 安全・品質など日本のモノ作りの根幹が揺らいでいるという報道も目立ちますが、こういう時こそ、モノ作り現場の実態を注意深く見たうえで評価すべきです。私の見る限り、日本メーカーの設計部門や生産現場の組織能力が崩壊した兆候はありません。

 モノ作りの信頼性は、現場の能力と現場にかかる負荷の相対的なバランスで決まります。そのバランスが崩れたのが、今回の問題の一因です。

複雑化が同時かつ多元的に起きた

 電子化が進んだ高級車では、極めて複雑な製品設計が要求されます。さらにハイブリッド車などエコカーも非常に複雑な制御が必要になる。新興国市場の急成長、海外工場の急増、世界的なクルマの品揃え拡大も課題でした。

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