「子ども倍増計画」

「どうせ産めないから…」未婚族の本音?

「既婚者の意識調査」で十分か、偏った統計が問題の本質を見誤らせる

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2010年2月18日(木)

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 少子化が進んだ原因の1つとして、「働く女性が増えたから子どもを産まなくなった」という「女性批判」を繰り広げる論調は多い。

 だが統計データに基づき、経済学の考え方から分析すると、「本当は子どもを産みたい人たち」の真意が見えてくる。少子化と女性の労働について研究している宇南山卓・神戸大学経済学部准教授の分析を聞いた。


(聞き手は日経ビジネス記者 広野彩子)

宇南山 卓(うなやま・たかし)氏

1997年東京大学経済学部卒、99年同大学大学院修士課程修了、2004年同大学博士(経済学)。慶應義塾大学、京都大学講師を経て現職。専門は、日本経済論。現在、日本経済研究センター特別研究員・経済産業研究所ファカルティーフェローとして、少子化と女性労働について研究している。日本経済研究センターでは「若手研究者による政策提言プロジェクト」に参加、経済産業研究所では吉川洋東京大学教授の研究プロジェクト「少子高齢化と日本経済」のサブリーダー。(撮影:福島正造、以下同)



 ―― 少子化が深刻になり、国会では「子ども手当」など、子育て世代への支援策が議論されています。保育園の待機児童問題も注目を浴びています。

 宇南山 私は、待機児童を政策目標とすることは間違っていると思います。

 もちろん、待機児童をゼロにしようと東京都などは本当にがんばっていますし、その方向性は正しいと思います。実際、ここ数年は合計特殊出生率は下げ止まりましたね。

 出産一時金を増額したり、育児休業給付金を40%から50%に給付率を高めたりと様々な施策の複合的な要因はあると思いますが、保育所の充実も一定の政策効果があったと思います。

保育所整備で事態が改善するとは限らない

 しかし実は、政府も地方自治体が保育所の整備の指標としている「待機児童数」は、適切な政策目標ではないと考えています。待機児童数は、子供の数そのものにも依存しますので、保育所の整備が進んでも必ずしも改善するとは限らないのです。

 保育所が整備されれば、子供を持とうと考える若い夫婦が「この地域なら産めるだろう」と思って住み、実際には待機児童になる可能性があります。

 逆に、保育所の整備が遅れれば、そもそも子供を産むのを断念する可能性があり、「待機児童」は生まれません。この事情を、「待機児童」という指標ではとらえ切れていない。

 さらに統計的に見れば、日本では結婚と子供を持つことがほとんどイコールです。そのため、保育園に空きがなく、仕事が続けられなくなると考えられれば、結婚そのものをあきらめてしまう可能性が高くなります。

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著者プロフィール

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日経ビジネス記者。1993年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、朝日新聞社入社。阪神大震災から温暖化防止京都会議(COP3)まで幅広い取材を経験した後、2001年1月から日経ビジネス記者に転身。国内外の小売・消費財・不動産・マクロ経済などを担当し、『日経ビジネスオンライン』、『日経ビジネスマネジメント』(休刊)の創刊に携わる。休職し、CWAJ(College Women’s Association of Japan)と米プリンストン大学の奨学金により同大学ウッドローウィルソンスクールに留学、2005年に修士課程修了(公共政策修士)。近年は経済学コラムの企画・編集、マネジメント手法に関する取材、執筆などを担当。



このコラムについて

子ども倍増計画

日本の少子化が止まらない。2006年に上向いた出生数が、2009年にまた減少。民主党政権は、子ども手当、高校の無償化など、次々と子ども向け政策を打ち出している。不況に伴い、働きに出る母親が増えた影響で、急増している保育園の待機児童対策も急務だ。だが、対策にはどれも財源が必要だ。もっと有効な手立てはないのか。見落としていることはないのか。そもそも、なぜ少子化がここまで進んでしまったのか。残された時間は限られている。人口や少子化問題に詳しい識者に聞いた。

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