「若きキャリア官僚たちの春2010」

米国での「霞が関」採用活動は、黒山の人だかりだった

【第19回】国土交通省 河田敦弥氏《中編》

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2010年3月1日(月)

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佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 民間の力、市場原理を生かすということは確かに重要ですが、モノによります。観光1つ取っても、関連する分野は広いようです。どんな個別の政策も全体を総合的に考えてからの方がいいですよね。

 先日、ある大手外資系企業の社長からお聞きしたのですが、循環器外科の医者は「コレステロールは血管に溜まるといけない」と言いますが、脳神経外科からすると「コレステロールが高い方が痴呆症になりにくい」そうです。身体の一部や各論ではなく、全体を総合的に見る医療システムが必要で、「これは企業の組織にも当てはまる」と言っていました。

 国であれば、国家戦略室のような、全体を長期的に考えた戦略が必要かと思います。観光も、国全体の戦略の中でほかの省庁とどのように関わり連携していくのかといったことを検討してから、政策として打ち出しているのでしょうか?

河田 敦弥(かわだ・あつや)氏
大阪府出身。東京大学法学部卒業後、1998年、運輸省(現・国土交通省)に入省。バスやタクシーの規制緩和、国際航空交渉、地域の公共交通再生と活性化に携わった後、昨年まで国交省の採用・研修業務を担当。現在は、観光庁でビジット・ジャパン・キャンペーン事業(訪日外国人旅行者増に向けた様々な施策)を担当。
(写真:佐藤ゆみ)

河田 敦弥(以下、河田) 役所って、違う役所であろうと情報は共有されやすいし、情報は縦にも横にも、例えば厚生労働省や経済産業省の話をしてもいいわけです。横のつながりというのは、1人ひとりのマインドによって、つながりができる人がいます。作ろうとしないマインドの人は、やっぱりそのままなわけです。

 もっと言うと、組織ができると、組織のせいにするわけです。確かに、組織ができたから頑張るという人はいます。でも、組織がなくても頑張ろうと思うのです、横のつながりを大事にするマインドを持っている人は。

 水が流れた後に、道ができるんです。最初に入れ物があって、形を決めて水を流そうと思っても、流しやすくするとかを考えると自ら流れを変える方がいい。

知恵と汗のネットワークが必要

佐藤 要は、器よりもその中のマインドということですね。ただポテンシャルを考えた場合、マインドの前に器が来た方が、器に合ったマインドになる可能性もあるわけで。鶏が先か卵が先かという気もしますが。

 マインドを持っていたとして、実際に官僚の能力というのは活かされていますか? 第2回の朝比奈一郎氏など、改革を唱える人もいますが。

河田 僕は変えなくてもいいと思う。役所って予算の増減が議論されますが、当たり前の話です。公務員のマンパワー、つまり人件費があるはずです。

 予算がなくてもできる話はたくさんある。クビにならない身分保障されている立場なのに、給料と別に予算が必要というのはちょっと違うと思う。

佐藤 給与のほかに、予算がつくのですか?

河田 そうなんです。日本のために使うんだけど、民間企業のネットワークを使って、100の補助金ではなく、10でできることです。知恵と汗のネットワーク作りが欠けているわけです。

佐藤 確かに、民間企業に比べると公務員にはコスト意識や創意工夫が欠けていますね。「予算がなくてもできることはたくさんある」と、第14回の農林水産省の鈴木憲和氏も言っていました。

佐藤 知恵と汗の欠けている例と成功例を教えてください。

河田 欠けている例は、「ようこそジャパン」で、お金をかけずにできることがあるのにできていないことが挙げられます。これはある方に言われたことですが、外人が最初に会う日本人というのは入国審査官です。入国審査官がにこやかだと、いいイメージになりますよね? 最初の、その国のイメージは入国審査で決まるわけです。

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著者プロフィール

佐藤 ゆみ(さとう・ゆみ)

佐藤 ゆみ政治アナリスト、マナー・礼法講師。札幌市出身。米国ルイス&クラーク大学留学、政治学・国際関係を学ぶ。帰国後、総合広告代理店にプランナーとして勤務。その後、衆議院選に出馬。政策担当秘書として国会議員の各種政策立案に携わる。現在、INTEGRACE(インテグレース)代表。企業・個人を対象に印象マネジメント、営業・接遇マナー、時事研修を実施中。ハリウッドビューティサロン「美人講座」講師。政治を切り口にしたコンサルティング・研修には定評がある。ウェブサイト「人を動かすマナーの法則」連載。



このコラムについて

若きキャリア官僚たちの春2010

税金のムダ遣い、縦割り行政の弊害、天下りの横行・・・。様々な批判が浴びせられる官僚たち。政権を担う民主党はマニフェストで「国家公務員の総人件費を2割削減する」と掲げた。日本の高度成長を支えた官僚の後輩たちは、どんな現状認識を抱いているのか。そして、国家運営に対する志は残っているのか。生の声から探っていく。
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若きキャリア官僚たちの秋2009

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