昨年10~12月期のGDP(国内総生産)は年率4.6%増の「高成長」となった。輸出の増加はともかく、小売業界の売上高が伸び悩む中での高成長。消費の主役がネットなどに移行する中で、経済統計の信憑性が二重に問われている。
「実態とは懸け離れている」
内閣府が2月15日に発表した2009年10~12月期のGDP(国内総生産)の速報値を見た多くの企業関係者はこう思ったことだろう。
物価変動を除いた実質GDPの速報値では、年率換算で前期比4.6%増の高い伸びとなった。このうちアジア向けが回復した輸出が21.7%増と3四半期連続で増えたことが大きいだけでなく、設備投資が4.0%増、個人消費も2.7%増と7四半期ぶりにプラスの内需が「高成長」に貢献した。
だが、実感としては内需産業を中心に景気が回復しているとは思えないのが実情だ。「個人消費がいいと言っても、エコポイントや減税の効果があった家電や自動車が売れただけだ」(大手流通業幹部)。
実際、「ユニクロ」など一部の好調な企業を例外に、流通や外食の売上高は前年を軒並み割り込んでいる。全国百貨店の売上高は10兆円近かったピーク時から3兆円以上落ち、食品中心で底堅いはずの全国スーパー売上高も14カ月連続で前年同月を割り込んだ。外食の2009年の全店売上高も前の年から1.5%減った。そういう意味で、スーパーなどの関係者が「実感がない」と言うのは間違いではない。
だが、スーパーや百貨店などの大手小売業が消費の実像を映し出しているのかというと、実は相当に怪しい。消費者の購買行動が多様になっているため、これまで個人消費の中心だったスーパーや百貨店以外の新しい流通チャネルが、個人消費を下支えしている面もあるからだ。代表例がインターネット通販だ。
ネット通販、既に百貨店超えも
「インターネットは経済の実体を大きく変えていく。我々がその核となる」
2月22日、楽天とヤフーが設立を呼びかけ、ネット業界で初めての横断的業界団体「eビジネス推進連合会」が発足した。その初会合で楽天の三木谷浩史会長兼社長は、こう高らかに宣言した。連合会には1665社が参加。会長には三木谷氏が就任した。今後は政策提言や調査研究のほか、ネット関連の規制緩和を求めていく。
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