磁石最大手の日立金属が、中国への進出を検討している。中国内で生産することにより、特許切れのリスクなどに備える。ハイブリッド自動車などの中国生産が加速する可能性もある。
非鉄大手の日立金属が、ハイブリッド自動車の駆動モーターなどに使われる、高性能永久磁石「ネオジム磁石」の中国での生産を検討していることが明らかになった。2010年春に発表する中期経営計画に盛り込む方向で調整を進めている。
同社はネオジム磁石の基本特許を保有する業界最大手。世界出荷量でトップシェアを握る。磁石の製造工程で使われる合金を中国で生産するケースはこれまでもあったが、磁石メーカー自らが中国に進出するのは国内大手では初めてとなる。
2014年の特許切れに備える
これまで磁石各社は、製造技術が中国メーカーに漏洩するリスクなどを理由に、中国進出を見送ってきた。磁石は原材料の配合比などが性能を左右するため、生産現場の技術者を引き抜かれたりすると、“門外不出”の生産ノウハウが外に漏れる恐れがある。それでも同社が進出を検討するに至った背景には、2014年に米国などで磁石の基本特許が切れることがある。
実はこの特許、中国では1980年代に「公知の技術」として成立しなかった。このため、中国内では同社のライセンスを受けていないメーカーが大量のネオジム磁石を生産している。その規模は日本国内の生産量の2倍とも3倍とも言われる。

こうした中国製磁石は、現状では米国など基本特許が成立している国には製品輸出できない。そのためこれまでは、同社が中国製の磁石を採用した欧米メーカーを訴えることで、輸出を封じ込めていた。基本特許が切れる2014年以降も周辺特許で輸出の封じ込めを続ける考えだが、特許の網をくぐり抜けた製品が新興国などで大量に出回る恐れがある。
中国で大量のネオジム磁石が生産されているのは、中国が磁石の主成分である「ネオジム」や「ディスプロシウム」といった「レアアース(希土類元素)」の市場を支配しているため。中国のレアアース生産量は世界の97%を占めるほどだ。
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