「社会起業家のオキテ」

「チェンジメーカー」渡邊奈々の軌跡

アショカとの出会いが、価値観・生き方を変えた

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2010年3月8日(月)

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 社会起業という言葉が、日本でも頻繁に聞かれるようになった。日本でも、しばしば名前が登場する社会起業家が何人かいる。

 例えば、2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのグラミン銀行創業者、ムハマド・ユヌス氏。同じくバングラデシュのNGO(非政府組織)BRACを創設した、ファザル・アベド氏。米マイクロファイナンス・インターナショナル(MFIC)の枋迫篤昌(とちさこ・あつまさ)社長。

 非政府組織(NGO)あり営利企業ありと形は違えど、いずれも世界で活動の確かさを認められた社会起業家である。

「社会起業の父」ビル・ドレイトン氏

 日本で最初にこの「社会起業家」に注目して世に出したのは、米ニューヨークに拠点を置く写真家の渡邊奈々さんである。社会起業の実態が広い意味で正しく伝わっているかといえば、必ずしもそうではない、と渡邊さんは言う。

渡邊 奈々(わたなべ・なな)氏
東京生まれ。慶応義塾大学文学部英文科卒業。米シートンホール大学院修士課程修了。1977年、リゼット・モデル氏より写真を学び、80年、ニューヨークで独立。87年、アメリカン・フォトグラファー誌より年度賞受賞。2008年、世界経済フォーラム(ダボス会議)社会起業家サミットでモデレーターを務める。2009年からアショカ上級アドバイザーに就任。
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 渡邊さんは、2000年から雑誌「Pen」(現在は阪急コミュニケーションズ刊)で、世界の社会起業家を紹介する企画を実現し、数回10ページ程度の特集を執筆した。その後、企画は「フィガロジャポン」(同)に場を移し、1ページの連載として続いた。

 辛抱強く社会起業家を探してインタビューを繰り返して手がけた渡邊さんの連載の一部は2005年、『社会起業家が世の中を変える チェンジメーカー』(日経BP社)として出版された。

 ここでは、18人の国内外の社会起業家を、渡邊さんが撮影した写真と共に紹介している。そしてその冒頭に登場する非営利組織「アショカ」CEO(最高経営責任者)のビル・ドレイトン氏こそが、「社会起業の父」と呼ばれる社会起業家の世界のリーダーであり、渡邊さんの同志なのである。

 最終的に渡邊さんが紹介した国内外の社会起業家は実に130人に上る。

 連載はじわじわと反響を呼び、渡邊さんは徐々に手ごたえを感じるようになった。読者から、「社会的起業の存在を知って会社を辞めました」などといった声が直接、間接に届くようになったからだ。「私は決して社会起業家ではないですが、チェンジメーカーではあります」と渡邊さんは言う。

 チェンジメーカーとは、どういう意味だろうか。

社会起業家はチェンジメーカー

 社会起業家は、社会に構造的な変革を起こす強力な「チェンジメーカー」である。ドレイトン氏が設立したアショカは、米国に拠点を置き、世界中の社会起業家を物心両面で支援し、社会変革を手助けする非営利組織だ。

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著者プロフィール

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日経ビジネス記者。1993年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、朝日新聞社入社。阪神大震災から温暖化防止京都会議(COP3)まで幅広い取材を経験した後、2001年1月から日経ビジネス記者に転身。国内外の小売・消費財・不動産・マクロ経済などを担当し、『日経ビジネスオンライン』、『日経ビジネスマネジメント』(休刊)の創刊に携わる。休職し、CWAJ(College Women’s Association of Japan)と米プリンストン大学の奨学金により同大学ウッドローウィルソンスクールに留学、2005年に修士課程修了(公共政策修士)。近年は経済学コラムの企画・編集、マネジメント手法に関する取材、執筆などを担当。



このコラムについて

社会起業家のオキテ

 日本でもすっかり言葉として定着した「社会起業」。日本でも、福祉や教育分野に乗り出す若手社会起業家が注目されている。その大元締めともいえる米国のビル・ドレイトン氏へのインタビューを軸に、社会起業家を日本で初めて紹介した渡邊奈々氏の軌跡も追いながら、ドレイトン氏が目指す「全員がチェンジメーカーになれる世界」とはどのようなものか、紹介する。

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