「社会起業家のオキテ」

チェンジメーカーは「釣り」を教え、社会起業家は「漁業」を変える

「社会起業の父」ビル・ドレイトン氏が語る(上)

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2010年3月9日(火)

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 「社会起業の父」と言われ、「誰もがチェンジメーカーになれる世界」を目指して世界中を飛び回るアショカ(前回参照)のビル・ドレイトン創立者兼CEO(最高経営責任者)。全員が社会起業家になるのはハードルが高いが、チェンジメーカーなら誰でもなれる、と呼びかける。日本でもアショカ支部を立ち上げる予定のドレイトン氏に、どうすれば「みんながチェンジメーカー」になれるのか、聞いた。


(聞き手は日経ビジネス記者、広野彩子)

ビル・ドレイトン(William・Drayton)氏

1943年生まれ。アショカ創設者兼CEO(最高経営責任者)。65年、米ハーバード大学卒業、67年、英オックスフォード大学修士課程修了。70年、米エール大学ロースクール修了。その後約10年間米マッキンゼー・アンド・カンパニーで経営コンサルタントとして働く。1977年から1981年まで、米カーター政権下で環境保護局の長官補佐官を務め、排出権取引を考案した。80年、アショカを創設した。(写真:菅野勝男、以下同)

 ―― まず、アショカが考える社会起業家の定義はどのようなものですか。

 強い意味があります。社会起業家とは、アイデアと強い意思によって特定分野の仕組みを、国家レベルで変革しうる存在です。また、社会起業家は独立しており、どうすれば問題を解決できるかを知っている。大きな構造改革は、世の中の仕組みがどうなっているかを分からない限りできないからです。

 社会起業は、単に自分のアイデアを表明することを指すのではありません。大学の研究や世間への提言など、言いっ放しで国をひっくり返すような大きな変革が達成できると考えるのは間違いです。

アイデアと強い意思で世界変える

 そうではなく明確な目標に向かって体を動かし、アイデアを実行し続けることが大切です。起業家は、最初はどうアイデアを実行するかが分からないものだし、どうやって様々なアイデアを1つにまとめていくかが分からないので、試行錯誤を経ます。

 それでもやり遂げる意思のある社会起業家は、やがて社会がどう機能しているかを理解する。そして1つの規律には縛られず、すべての意見に耳を傾ける柔軟さを備えていく。また社会起業家は、皮肉を言うような人ではありません。大変な苦労を経験しているので、物を見る目がまっすぐです。

 アショカの大きな目的は、ビジネスと社会的事業という、社会を構成する2つの領域をつなげることです。アショカの21のプログラムも、その目的のためにあります。

 ―― 2006年にノーベル平和賞を受賞した、グラミン銀行創業者であるムハマド・ユヌス氏もアショカの活動にかかわっているそうですね。

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著者プロフィール

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日経ビジネス記者。1993年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、朝日新聞社入社。阪神大震災から温暖化防止京都会議(COP3)まで幅広い取材を経験した後、2001年1月から日経ビジネス記者に転身。国内外の小売・消費財・不動産・マクロ経済などを担当し、『日経ビジネスオンライン』、『日経ビジネスマネジメント』(休刊)の創刊に携わる。休職し、CWAJ(College Women’s Association of Japan)と米プリンストン大学の奨学金により同大学ウッドローウィルソンスクールに留学、2005年に修士課程修了(公共政策修士)。近年は経済学コラムの企画・編集、マネジメント手法に関する取材、執筆などを担当。



このコラムについて

社会起業家のオキテ

 日本でもすっかり言葉として定着した「社会起業」。日本でも、福祉や教育分野に乗り出す若手社会起業家が注目されている。その大元締めともいえる米国のビル・ドレイトン氏へのインタビューを軸に、社会起業家を日本で初めて紹介した渡邊奈々氏の軌跡も追いながら、ドレイトン氏が目指す「全員がチェンジメーカーになれる世界」とはどのようなものか、紹介する。

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