「若きキャリア官僚たちの春2010」

いかに関係者の理解を得ながら撤退するか

【第21回】法務省 土手敏行氏《前編》

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2010年3月15日(月)

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佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 今回は法務省とよく仕事をしているという裁判官の友人に土手さんをご紹介いただきました。法務省というと、法律を改正したり、裁判員制度や死刑・時効制度しかイメージがありません。議員会館にいる国会議員の秘書に聞いても、法務省とやりとりをしたことのある秘書はいませんでした。

 法務省とはそもそも、どのような組織で、どのような仕事をされているのでしょう?

土手 敏行(どて・としゆき)氏
広島県出身。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、1991年法務省入省。法務省では、戸籍、商業登記、人事などを担当。旧厚生省、旧金融再生委員会、金融庁への出向などを経て、現在は民事局総務課で法務局の施設と適正配置を担当。2006年の会社法施行の際は、2005年に施行準備を民事局商事課にて、施行後に実際の登記処理を東京法務局で行った。(写真:佐藤ゆみ)

土手 敏行(以下、土手) 法務省って、あまり知られていないんですね(笑)。法務省は大まかに刑事関係と民事関係の組織から成り立っています。法秩序や治安の維持という国民を下支えする組織と思ってください。政策をどんどん打ち出す役所とは違いますので、そういう意味では地味なのかもしれません。

佐藤 土手さんご自身のご担当は?

土手 民事局で法務局の施設に関する仕事や全国にどのように法務局を配置すべきかという適正配置の仕事をしています。法務局は証明書を発行するなどの住民サービスも行っているんですよ。

佐藤 民事局で、住民サービスというと、具体的には例えばどのようなサービスを実施されていますか? また、民事というと裁判を連想するのですが、薬害エイズなどの国がらみの訴訟とも関係ありますか?

土手 法務局という法務省の出先機関がサービスを実施しています。比較的知られているのは不動産や会社の登記、選挙供託などでは。訴訟に関しては法務局・地方法務局が国に関する事件を担当しています。

佐藤 法務省というのは、国が訴えられた時に、国側に立つのでしょうか?

土手 はい、国の代理人になります。いわば国の弁護士のようなものですね。法務大臣が国の代理人になり、実際に法廷に立つのは、法務局・地方法務局の訟務検事、訟務官です。

「法務省は親切な役所だ」

佐藤 訟務官という専門の方もいるのですね。土手さんが法務省に入省された動機は?

土手 学生時代、漠然と国家レベルの仕事がしたい、それには国で働くのが一番と思っていました。法務省を選んだのは、たまたま大学3年生の時民事局に資料をもらいにいく機会があり、担当者がとても親切だった記憶を、大学4年生の官庁訪問の時に思い出したからです。

 幸いにして今でも法務省の印象は変わりません。他府省に出向した際にも、皆さんに「法務省は親切な役所だ」とよく言われました。

佐藤 印象というのはずっと残るものですよね。これまで一番やりがいがあったお仕事は?

土手 どれもやりがいがありました。現在の仕事である登記所の適正配置という仕事は、登記所の統廃合を伴うので、よく後ろ向きの仕事と言われますが、いかに関係者の皆様の理解を得ながら撤退するかという点ではやりがいがあります。法務局の支局・出張所の数は、昭和30年代は2000カ所以上あったのですが、1996年には1000カ所程度、今は471カ所と大幅に減少しています。

佐藤 登記所はなぜそんなに多くあったのでしょう? また、登記とは、何の登記ですか?

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著者プロフィール

佐藤 ゆみ(さとう・ゆみ)

佐藤 ゆみ政治アナリスト、マナー・礼法講師。札幌市出身。米国ルイス&クラーク大学留学、政治学・国際関係を学ぶ。帰国後、総合広告代理店にプランナーとして勤務。その後、衆議院選に出馬。政策担当秘書として国会議員の各種政策立案に携わる。現在、INTEGRACE(インテグレース)代表。企業・個人を対象に印象マネジメント、営業・接遇マナー、時事研修を実施中。ハリウッドビューティサロン「美人講座」講師。政治を切り口にしたコンサルティング・研修には定評がある。ウェブサイト「人を動かすマナーの法則」連載。



このコラムについて

若きキャリア官僚たちの春2010

税金のムダ遣い、縦割り行政の弊害、天下りの横行・・・。様々な批判が浴びせられる官僚たち。政権を担う民主党はマニフェストで「国家公務員の総人件費を2割削減する」と掲げた。日本の高度成長を支えた官僚の後輩たちは、どんな現状認識を抱いているのか。そして、国家運営に対する志は残っているのか。生の声から探っていく。
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