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「国営」に戻る? 郵政の危うさ

  • 加藤 修平

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2010年3月15日(月)

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政府・与党の郵政事業見直しで、郵便貯金などの規制緩和が進むことになりそうだ。ただ、新規参入を目論むローン業務などには、郵政に肝心の「ノウハウ」がない。「ないものねだり」だけで既存業務の効率化を忘れては、郵政は国民の「お荷物」になる。

 「私たちは『お荷物』として、働き続けなければならないのでしょうか」

 大詰めを迎えている政府・与党による郵政改革見直しの議論。郵便事業に携わりながら成り行きを見守る職員の1人は、そうため息をついた。見直しは事業会社の再編といった経営形態から新規業務への参入まで、論点は多い。だが、議論の方向を要約すれば、「貯金と保険から上がる収益で、全国の郵便局網を支える」ということだ。

 「全国一律のサービスをするのに、(郵便貯金の預け入れ)限度額を見直したうえで国民に迷惑をかけないように」。3月5日に開かれた与党3党幹部による協議。又市征治・社民党副党首の発言は、郵政の「全国一律サービス」の難しさを示している。はがきを富士山頂で差し出しても1枚50円。そんなサービスを賄うには、郵便貯金を元手に稼ぐしかない、というわけだ。

 しかし、2つの問題がある。1つ目は今の郵便事業に、収益向上策はあり得ないのか、という点だ。

郵便は「このままではまずい」

 3月2日。郵便事業会社はカタログ通販大手ニッセンとの業務提携を発表した。ニッセンはこれまで、商品の配送をヤマト運輸に委託していたが、4月から原則としてすべて、郵便事業会社に切り替える。ニッセンの年間配送数は約2000万個で、「ゆうパック」の年間引受数の約7%に当たる。最大のライバルから顧客を奪ったという意味では、近年まれに見る営業成果だ。

 だが、社内に浮かれた雰囲気はない。ゆうパックは日本通運との宅配便事業統合を巡る混乱もあってライバルに顧客を奪われ、2009年は書き入れ時の12月の引受数が前年同月比9.1%も減った。「このままではまずいという雰囲気が強い」と、ある職員は漏らす。

 せっかく芽生えた緊張感も、郵便事業が郵便貯金の収益で支えられる構図が定着すれば、緩んでしまいかねない。郵便事業会社の幹部によると「米国でも国営の郵便は配達回数を減らして効率化することが真剣に議論されている」。片や日本の政府・与党が進める議論には、郵便事業の効率化という視点がすっぽりと抜け落ちている。

 2つ目の問題は、金融事業の収益拡大にはハードルがあるということだ。

 その象徴が郵便貯金の預入限度額を引き上げるという議論だろう。今は1000万円が上限だが、政府・与党はこれを3000万円に引き上げる案を軸に調整している。枠が広がれば郵便貯金が増えるのは間違いない。

 しかし、国債を中心とした低利の運用に偏った現状では、金利上昇局面で貯金金利が上がると、収益力は一気に下がる。規模の大きさが必ずしも収益増に結びつくわけではないのだ。

 しかも、この限度額の引き上げを郵便局の職員が一致団結して希望しているかというと、そうでもない。

業務の効率が高く、顧客の使い勝手も良いサービスこそが重要だ(東京都港区の西新橋郵便局)(写真:丸毛 透)

現場は「限度額上げ」望まず

 総務省幹部はこう話す。「本音では全国郵便局長会も、限度額の引き上げは望んでいないはず。理想は通常貯金の限度額撤廃だ」。

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