(前編から読む)
佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 登記をはじめ、地方行政機関の統廃合が進み、合理化された部分もあると思いますが、不便になったこともあるのでは?
土手 敏行(以下、土手) そうですね、5年以上前に法務局が廃止されたある山間地の商工会の代表の方が、「法務局が廃止されて不便だ、再設置してほしい」と本省までおいでになられたことがあります。お話を聞いていくうちに、この地域の方は法務局がなくなったことで何かあった時に気軽に相談できないという不安感を抱いておられるのではないかと強く感じました。
「行政改革でやむを得ないとはいえ、法務局が地域からなくなり、忘れ去られてしまってもいいのか、この国における法務局の役割はその程度か」と私も職場の大先輩に前々から重い宿題をいただいていました。
制度の周知も行政サービス

広島県出身。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、1991年法務省入省。法務省では、戸籍、商業登記、人事などを担当。旧厚生省、旧金融再生委員会、金融庁への出向などを経て、現在は民事局総務課で法務局の施設と適正配置を担当。2006年の会社法施行の際は、2005年に施行準備を民事局商事課にて、施行後に実際の登記処理を東京法務局で行った。(写真:佐藤ゆみ)
そこで、法務局の再設置は難しいけれども、法務局が地域に出向いて地域の皆様の日頃の不安などのお話を伺う機会があれば、地域の皆様の不安解消の一助になるのではないかとご提案したところ、2009年秋にその機会が実現しました。商工会主催のパソコンによる証明書の請求方法の説明会に法務局から職員を派遣したのです。
結果は50事業所の代表者の方にお集まりいただき、たいへん盛況だったそうです。もっとも登記所がないことの不満の声などもその場ではあったそうですが。
法務局では登記相談会、人権相談会、市民講座(不動産・供託など)などでこれまでも地域に出向いています。法務局が様々な説明会などを契機として地域に出向き、少しでも多くの地域の方々と定期的にコミュニケーションを取ることは大事だと考えています。今後も、もっと増やしていきたいと思っています。
佐藤 法務局が地域行政サービスの一環として、様々な相談会や講座を開催されることはとても意味のあることだと思います。行政というものが、お上と呼ばれるのではなく、本来は国民、地域住民のためのサービス機関であり、サービス業として認識すべき点は数多いのですから。
応対の接遇マナーなどもそうですが、知恵として活かせる制度の周知もサービスの1つではないでしょうか。この連載で厚生労働省の山田章平氏も「制度を知って得をする、または知らないで損をしている方々が多い」とおっしゃっていました。
土手 その通りだと思います。そのため、法務省では、中学校や高校の法教育授業への講師の派遣を行ったりしています。
佐藤 知りませんでした。そういった授業の告知はどのようにされているのでしょう?
土手 法務省ウェブサイトに案内があります。講師の派遣を希望される学校がありましたら、法務省ウェブサイトの案内先または法務局にご相談ください。
佐藤 制度や法律を知らなかったばかりに損をしてしまう方々は本当に多いでしょう。実は私、友人や家族で交流のあった方にお金を騙されたことがあります。その時は一時的に貸してほしい、一部を株を買ったことにしてくれるとやりやすい、元本保証だと頼まれまして。
ほかにも、国会議員と選挙で書面を交わさない約束を両親の前でしていたにも関わらず、「そんな約束はした覚えがない」と言われたり。そのことを相談したある秘書が県議選に出馬した時も、どうしてもウグイス嬢がつかまらないから頼むと泣きつかれて、ウグイスをしたりウグイスの養成をしたりしたのですが、結局、財政難だとかで約束した金額を払ってもらえませんでした。
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政治アナリスト、マナー・礼法講師。札幌市出身。米国ルイス&クラーク大学留学、政治学・国際関係を学ぶ。帰国後、総合広告代理店にプランナーとして勤務。その後、衆議院選に出馬。政策担当秘書として国会議員の各種政策立案に携わる。現在、

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