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商社は三河屋にならないとあきまへん

岡藤正広・伊藤忠新社長が語る「現場」の大切さ

2010年4月1日(木)

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 4月1日、伊藤忠商事の8代目社長に、岡藤正広氏が就任した。繊維部門の営業畑一筋という、生粋の営業マン。率いてきた繊維部門は8期連続の最終増益を達成。2009年3月期には純利益229億円と過去最高を更新した。

 「イブ・サンローラン」「ミラ・ショーン」など、海外の著名ブランドとの提携を次々と実現させ、繊維業界では広くその名を知られている岡藤氏。繊維産業で培ったノウハウを生かし、今度は全社の経営を担うことになった。

 2番底懸念は弱まりつつあるものの、依然として停滞局面にある世界経済。その中で、伊藤忠は何を目指すのか。岡藤氏に聞いた。

(聞き手は蛯谷敏=日経ビジネス記者)

 ―― 4月1日付で、社長に就任されます。トップとして、何を重視していきますか。

岡藤 正広(おかふじ・まさひろ)氏
1949年12月生まれ。74年3月東京大学経済学部卒業、伊藤忠商事入社。2006年専務、2009年副社長。4月1日付で社長に就任。趣味は奈良の無名な神社仏閣を静かに巡ること。(写真:村田和聡、以下同)

 岡藤 僕は、もう根っからの現場人間なんですよ。商社に入ってからほぼ営業一筋の人生。そこから、学んだというか、信念として持っているのが、現場がいかに大事かということです。僕にとっての一番の魅力だとも思っています。今日は、そのきっかけとなった体験から話しましょう。

 僕が、「現場が大事」という信念を持つようになったのは、ある経験が原点にあります。僕が入社して配属されたのは、紳士用の仕立て生地などを扱う部署でした。英国の毛織物などを輸入していたんですね。当時は英国物の毛織物というのが高級品の代名詞でしたから。

 ただ、英国の毛織物メーカーというのは非常に硬い名前なんですよ。いかにも無骨というか、非常に硬派なネーミングです。もちろん、それなりに問屋さんには売れていたんですけれども、もっと売るために何かできないか、日々考えていました。

帝国ホテルで開かれた展示会での経験

 それは、展示会での出来事でした。銀座の英国屋というテーラーさんが帝国ホテルで開いた展示会を見に行く機会がありました。そこで見た光景に、びっくりしたんです。

 紳士用のスーツを買う人は、男性ばかりだと思っていたんですよ。確か、あれは土曜日だったんですけれど、僕はてっきり紳士方が大勢来ているものだと思っていた。

 そうしたら、全然違ってたんですね。ほとんどが、奥さんとお嬢さん連れ。見ていると、奥さんやお嬢さんが生地のサンプルを持ってきて、「お父さん、これがいいわね」って生地を選んでいた。

 ―― 全然予想と違っていた。

 そう(笑)。今考えて見れば当たり前なんだけど、当時は僕も駆け出しだったからね。実際は、女性に決定権があったんですよ。

 だけど、当時のテーラーの生地は、ほとんど無地だったんです。グレーも紺も、全部無地。それはなぜかというと、皆、生地を選んでいるのは男性という先入観があったからなんです。男の人が着るのは、無地のおとなしいやつだろうってね。どのメーカーもほぼ一緒だったんですよ。

 それを見てはたと思ったんです。ということは、男物の堅苦しい名前よりも、もうちょっと女性に訴えるような名前を付けたら、もっと売れるんじゃないかと。それで、女性に知られている名前は何だと必死に考えたんです。

 ―― それで、紳士の仕立て用の服地に「サン・ローラン」を付けたんですね。

 今から30年も前ですから、パリのサン・ローランでいこうってね。いろいろ苦労はあったんですけど、相手と契約をして、サン・ローランが選んだ生地の輸入を始めました。

本当の消費者は誰か、現場の重要性に気づく

 その時が、初めて現場って重要だなと思ったんですね。男性物だからといって、必ずしも男の人が選んでいるんじゃない。むしろ、女性を意識すべき場合もあるということが、現場に行って初めて分かったんですね。

 そこからですよ、現場がいかに大事かということを考えるようになったのは。

 ―― なるほど。

 そして、これがたまたまですけど、伊藤忠がブランドビジネスをやるきっかけになったんです。あの経験がなければ、今のブランドビジネスも僕もいなかったでしょうね。それ程、大きな体験だった。

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「商社は三河屋にならないとあきまへん」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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