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膨らむ郵貯、官に逆流

  • 杉山 俊幸,加藤 修平

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2010年4月5日(月)

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郵便貯金の拡大や国際協力銀行の再分離論など、公的金融改革の見直しが動き始めた。公的機関が息を吹き返す姿は、非効率と批判された官製金融の復活に見える。肥大化に向かう公的金融に、民主党の「事業仕分け」は適用しないのか。

 「それなら、郵便貯金の預入限度額を上げるんじゃなくって、下げるべきではないのか」

 ある経済官庁幹部は思わず苦笑いした。郵政改革を巡って、国民新党から「巨額の郵政資金を地域のために役立てる方策を考える」という方針を聞いた時のことだ。

 幹部の考えはこうだ。郵便貯金の預け入れは1000万円が上限だが、仮にこれを500万円にすれば、超過分をほかの金融機関に預け替えることになる。預金が増えた地方銀行や信用金庫は、地元の企業などに融資しやすくなる。まさに地域のお金を地域で活用する。ところが政府の方針は今のところ、これとは正反対になっている。

 亀井静香郵政・金融担当相と原口一博総務相は3月24日、郵政改革の方針を発表した。郵便と貯金、簡易保険のいわゆる郵政3事業は事実上、政府が出資する企業として存続する。郵便貯金の預入限度額は2000万円に倍増、簡易保険の加入限度額も2500万円と2倍弱に引き上げるという。

日本郵政の組織維持のため?

 だが、特に限度額引き上げについては「了解ではない」(鳩山由紀夫首相)、「決まっている話ではない」(仙谷由人国家戦略相)と民主党側が反発、閣内の調整不足を露呈した。仙谷氏周辺によれば、「日本郵政という特定の組織維持のために、なぜそこまでする必要があります? マイナス面の方が大きすぎる」。政府内でも限度額の単なる引き上げには否定的な意見が強いことを浮き彫りにした。

 預入額は青天井の方が、郵便貯金の利用者にとって便利なのも事実。ただしそれでは、「日本経済に低成長を強く押しつける政策となる」とBNPパリバ証券の河野龍太郎・チーフエコノミストは指摘する。

 どういうことか。

 郵便貯金の利用者はゆうちょ銀行が経営破綻して預けたお金が戻ってこない事態は想像もしないだろう。この「暗黙の政府保証」で貯金を集めるゆうちょ銀は安全運用を目指すため、貯金の大半を国債で運用する。「ローリスク・ローリターン」が郵便貯金の大原則だ。

 限度額の引き上げは、民間金融機関の資金をゆうちょ銀が吸い上げることになり、結果としてリスクを伴う成長分野の育成に回る資金が次第に細っていく事態を招きかねない。成長産業も現れず、民間の資金需要が乏しくなれば、銀行も運用の国債シフトをますます強め、リスクマネーは一段と小さくなっていくというわけだ。

 既にこの現象は長期金利の安定をもたらしている。河野氏は「低金利が続くと、膨張する公的債務を積極的に減らす動機づけが弱くなる」と、財政のモラルハザード(倫理の欠如)にもつながると主張する。

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