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亀井案こそ郵政を潰す

時限爆弾のスイッチ入れた郵貯・簡保の限度額拡大

  • 竹中 正治

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2010年4月7日(水)

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 亀井静香金融・郵政担当相vs.仙谷由人国家戦略担当相──。郵便貯金(ならびに簡易保険)の預入限度額の増額の是非を巡る鳩山由起夫内閣の議論を見ていて、奇妙な疑問がわいてきた。

 郵貯の主力商品である定額貯金は、ご存じの通り、預入後満6カ月から引き出し可能で、固定金利ベース複利で最長10年の預け入れができる。現在その適用金利は6カ月超1年未満の場合が0.06%で最長10年預けても複利で0.11%に過ぎない。

 一方、郵貯の資金運用の大部分は中長期の国債であり、10年物国債利回りは現在1.3%前後だ。1990年代後半以降、超低インフレあるいはデフレ状態が続いているので10年物国債利回りは、政府債務の急膨張にもかかわらず、ほとんど1%から2%未満の水準がずっと続いている。

 この結果、郵貯は1%前後の利ざや収入を得ている。このままでは赤字拡大が予想される郵便事業の全国一律サービスを維持するためには、郵便貯金の資金運用益の維持・拡大が必要であるとされ、そのために限度額引上の是非が論点になったわけである。結局、鳩山首相の「裁可」で亀井・原口(一博総務相)案通り2000万円への拡大が閣議決定された。

貯金者はなぜ超低利回りに甘んじるのか?

 私が奇妙だと感じるのは次のことだ。

 どうして郵貯で定額貯金をしている貯金者らは0.1%程度の超低利回りに甘んじ、自ら10年物国債を買うことで1%を超える運用益を手にしようとしないのだろうか。今時、国債は日本国債でも米国債でも証券会社の窓口で簡単に買える。インターネットのオンライン証券取引でも簡単に買えるというのに(ただし証券会社は国債を売っても手数料率が低いので積極的にセールスはしない)。

 次のような理由が考えられる。

(1) 初歩的な金融・投資知識がないので国債と定額預金の利回り格差も知らずに、過去からの惰性で漫然と郵貯に預けている人たちがいる。
(2) 定額預金は預入後満6カ月から引出可能なので(定期預金のように期限前解約で利率が下がるペナルティーがない)、市場の金利が上がって金融商品の利回りが上昇したら、もっと高い利回りの商品に移そうと思って預けている人々がいる。ただ超低金利時代が思いがけなく長引いた結果、そのままになっている。

 おそらく(1)と(2)の双方の方々がいるのだろう。

 (2)のケースのように金利動向に合理的に反応して郵貯に預けている方々もかなりいることは、過去の金利と郵貯残高の変化を見ると分かる。例えば定額貯金の適用金利がほぼピークだった1990年の郵便貯金残高(簡保資金を含まない)は136兆円、これが95年には213兆円と57%も増え、そこから99年までにさらに22%増え260兆円でピークとなった。

 とりわけ金利の天井感が強まって先行き金利の低下が予想された1990年代初頭には、高い固定金利で長期の資金運用を確保するために、5年物利付債や10年固定金利を確保できる郵貯の定額預金に個人資金が殺到した。

 結局、金利は90年代を通じて低下し、ゼロ金利近くまで下がったので、長期固定金利で預けられた定額貯金はほとんど引き出されることなく累積した。これが90年代の郵貯資金急膨張の主因となったのだ(民間金融機関の信用不安も副次的な要因だったかもしれない)。

 こうした預貯金者の行動選択は、極めて合理的であり、金利や金融商品に無知なわけではない。その後、ゼロ金利に近い水準が10年以上も続いているので、定額貯金はかつての魅力を失った。郵貯残高は2000年代に入ってから毎年減少基調をたどり、今では郵貯残高は175兆円に減った(2009年9月末時点)。

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