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5年間、1件も否認が出なかった課徴金制度に波

味の素社員やビックカメラ元会長の抗戦を“糧”にできるか

2010年4月13日(火)

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 3月16日、約9カ月間にわたる審判手続を経て、味の素社員に対する課徴金納付命令が決定した。 課徴金の納付命令に対し、実際に審判手続が行われた結果、納付命令が決定した初のケースである。

 金融庁による金融商品取引法に基づく課徴金制度は、証券市場における違法行為に対し、迅速に行政処分が下せるよう、2005年4月に発足した。課徴金制度ができる以前は刑事告発しか不正摘発の手段がなく、それだけに慎重な判断と十分な疎明が求められ、おのずと摘発の件数も限られていた。

 要するに刑事事件として耐えうる証拠が固められた事案しか摘発できなかったものを、罰金で済ませる制度を創設することで、規制の実効性を上げようという主旨である。

 具体的には、証券取引等監視委員会が課徴金納付命令を下すよう、金融庁長官に勧告を行い、その勧告に基づいて審判手続に入る。審判手続は金融庁長官に任命された審判官が、処分対象者と証券取引等監視委員会双方の言い分を聞き、処分の是非を判断する。金融庁版刑事裁判のようなもので、審判官を裁判官、証券取引等監視委員会を検事、処分対象者を刑事被告人に置き換えると分かりやすい。審判は公開で行われ、誰でも傍聴が可能という点でも刑事裁判とよく似ている。

 ただ、制度創設からの約5年間で、課徴金納付命令の決定件数は3月末時点で119件に上るが、実際に審判が開かれたうえで納付命令が決定したのは今回が初。

 というのも、第1回目の審判開催以前に、処分対象者が処分内容を認める主旨の答弁書を提出すると、その時点で審判手続は終了し、納付命令が正式に決定してしまうからだ。つまりは、過去5年間、本件を除く118件の処分勧告に対して、異議を唱えた処分対象者は1人もいないということなのである。

 本件は、味の素社員が、味の素がカルピスと経営統合をするという情報を公表前に知り、妻に指示をしてカルピス株式を購入させたとする、インサイダー取引を疑われた事案である。審判はほぼ1~2カ月に1回程度のペースで開催され、裁判さながらに答弁書のやり取りがあり、最終的に処分対象者本人や関係者の尋問もあった。

 審判は金融庁内の審判場で開催され、3人の審判官はいずれも裁判所から金融庁に出向している現役の裁判官。証券取引等監視委員会側の出席者も検察庁からの出向者で、現役の検察官である。処分対象者は審判を受ける立場なので、被告ならぬ“被審人”と呼ばれる。“被審人”には代理人弁護士が付くので、審判に参加する顔ぶれは刑事裁判と同じだ。

司法はどの程度の疎明を求めるのか

 本件は2009年6月19日に審判手続の開始決定が出て、8月21日に被審人が違反事実を否認する答弁書を提出したため、第1回目の期日が9月10日に開催された。以後4回の審判が開催され、最後の審判期日から1カ月後に審判官が金融庁長官宛に決定案を提出。その案を2週間程度で金融庁長官が了承し、正式決定と相なったわけである。実際の刑事裁判の手続きと異なるのは、審判官が直接被審人に対し決定を下すのではなく、あくまで決定を下すのは金融庁長官だという点くらいだろう。

 3月16日に公表された決定文では、決定的な物的証拠には欠けるものの、状況から見れば味の素社員の違反行為はほぼ疑う余地がないように読める。

 だが、味の素社員の代理人弁護士は「当方に有利な証拠は一顧だにされることなく、すべて排除されている」と主張する。

 証券取引等監視委員会は、味の素社員である夫が、味の素とカルピスが経営統合をするという未公表情報を得て、職場を抜け出して妻に電話をし、カルピス株式の購入を指示したと主張している。

 だが、通話記録や購入指示の電話をしていた現場の目撃証言があるわけではない。妻がカルピス株式の購入をしたと思われる時間の少し前に、味の素社員の職場のパソコンが静止していたことをもって、その時間帯は席を外していたことが推定されるという点については、「パソコンの画面が静止していた時間帯はほかにもあるのに、特定の時間帯だけが静止していたかのように監視委員会は主張している」という。

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