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元凶は郵貯と円高にあり

日本の財政が破綻する

  • 藤巻 健史

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2010年4月19日(月)

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 (日経ビジネス4月19日号82ページのリポート「日本の財政が破綻する」の詳細版です)

 鳩山由紀夫政権は今、とてつもない愚行を犯そうとしている。郵便貯金を再び膨張させ、大きな政府に舵を切ろうというのだ。国債増発に依存し、ばらまきを続けてきた日本の財政はもう破綻寸前まで来ている。

藤巻 健史(ふじまき・たけし)氏
[フジマキ・ジャパン代表取締役]

1950年東京都生まれ。74年、一橋大学商学部卒業、三井信託銀行入行。80年、ノースウエスタン大学大学院でMBA(経営学修士)取得。85年、モルガン銀行に移り、資金為替部長、東京支店長などを歴任。外国為替、債券取引などで巨額の収益を上げ、「東京市場屈指のトレーダー」の異名を取る。2000年の退行後、米著名投資家、ジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを経て、フジマキ・ジャパン代表取締役。今年3月に『日本破綻~「株・債券・円」のトリプル安が襲う』(講談社)を上梓。ブログ「プロパガンダ」を執筆中

 鳩山由紀夫政権が「全国一律サービス」を旗印に、郵政民営化政策を見直そうとしている。日本郵政への政府出資を3分の1超とし、郵便貯金の預け入れ限度額を1000万円から2000万円へと大幅に引き上げるという。

 民間金融機関は「民業の圧迫」と反対しているが、この問題は「民業の圧迫」と一言で集約される小さな問題ではない。郵政が象徴する「大きな政府」は、現在の景気低迷、財政危機を起こした元凶だと思うからである。再度、「大きな政府」に舵を切るのであれば「全国どこでも、郵便は翌日届く一方、国民の年金は消失」という事態に陥るであろう。

国債未達発生の日が近い

 政府が「高福祉や全国一律」のサービスを提供し得るのはカネがあってこその話だ。「税収が足りなければ国債を発行してカネを集め、サービスを提供する」と言うのは簡単でも、それは国債を完売できての話である。「子ども手当」をばらまきたくとも「国家公務員の給料」を払う義務があろうとも、金が集まらなければ不可能だ。

 私はこの、カネが集まらない、すなわち国債未達(入札で国債が完売出来ない)発生の日が近いと考える。10年国債の入札は毎月、月初に行われているが、すでに毎月、カネの集まり具合を懸念しなくてはならない時期が来ているのではなかろうか。

 国債未達のニュースが市場に流れた瞬間、債券価格は大暴落(長期金利は急騰)する。債券先物市場は連日のストップ安で、数日間は市場が閉鎖状態になる。そうなると国債の保有者は、なんとか損を最小限に抑えようと現物債市場での売りに走る。

 1987年には5月14日に89回債が2.55%を付けた後、10月12日には6.24%と、5カ月間で4%も上昇したが、今回はその上昇幅と速さにおいて段違いの激しさだと考える。

 マーケット経験がない識者の中には「外国人が日本国債を持っていないから売り圧力は小さい」などと楽観論を述べる人がいるかもしれない。しかし、マーケットはそう甘いものではない。

彼らは「売り」先行で日本の市場に参入する

 今までは参加していなかった年金資金や投機の外国人マネーが大量に入って来るのだ。喜んではいけない。彼らは「買い」で入って来るのではない。年金資金といえども「売り」先行で日本の市場に参入する。先物市場では「売り」も「買い」同様に簡単にでき、「売り」先行でも何の支障もないからだ。

 財政破綻に陥った国の資産など持っていられない、ということで、株や円も急落する。資金繰りが苦しくなり潰れる企業が出て、失業者も急増する。国債を大量に持っている「ゆうちょ銀行」を筆頭に、棄損する「国債」を多く保有する金融機関には預金を引き出そうと行列ができるかもしれない。

 取り付け騒ぎにでもなれば、日本銀行は座して事態を見守るわけにはいかない。市中で完売できなかった国債を日銀が引き受ける。過去に「ハイパー・インフレ(急激な物価上昇)」を引き起こした経験から、現在では財政法で禁止されている禁じ手の発動である。

 また取り付け騒ぎを抑えこむために銀行保有の国債を日銀が買い取って市中に無尽蔵に資金供給を行うかもしれない。紙幣が街に満ち溢れ、貨幣の価値が急落する。すなわちハイパー・インフレ時代の到来だ。

「合法的徳政令」は最悪シナリオ

 汗水たらして10年間でやっと貯めた銀行預金100万円を下ろして1回タクシーに乗れば消えてしまうということだ。年金を月々20万円もらってもタクシー初乗り2キロメートル100万円になれば、年金も「実質消滅」したのと同じだ。

 一方、国の財政は大助かりである。私はこれを「合法的徳政令」と呼ぶ。国が約束通りに100万円の国債を償還してくれたとしても、手にした100万円でタクシー2キロメートルしか乗れなかったら、それは実質借金棒引きと同じだからだ。

 以上が私の考える最悪のシナリオである。

コメント37件コメント/レビュー

景気が回復して徐々に円安になり、ゆっくり10%以下のインフレ率にあがれば、税収の伸びとセットで健康体に回復できるでしょう。この場合、ゆっくりでないと市場は混乱します。一方藤巻さんのおっしゃるとおり、もしも国債が消化できないという形でいきなり危機が表面化すれば、パニックになり、何が起きるか想像がつきません。でも前者のようにコントロールすることは至難の業で、後者の悲観的なシナリオほうが現実的に思えます。それがいつになるかという話では、2017年ごろに国際収支が経常赤字になるという予測があり、それが契機になるという話が出ていますね。ところでハイパーインフレの定義って、月に50%でしたっけ? 年率では13000%。さすがにこんなにインフレになる状況は想像できないです。戦後の混乱期にもこんなにインフレになったことはありません。藤巻さんもさすがにこれほどのインフレ率は考えていないんじゃないですか? ハイパーインフレって言葉を使うときには注意した方がいいですよ。(2010/05/10)

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景気が回復して徐々に円安になり、ゆっくり10%以下のインフレ率にあがれば、税収の伸びとセットで健康体に回復できるでしょう。この場合、ゆっくりでないと市場は混乱します。一方藤巻さんのおっしゃるとおり、もしも国債が消化できないという形でいきなり危機が表面化すれば、パニックになり、何が起きるか想像がつきません。でも前者のようにコントロールすることは至難の業で、後者の悲観的なシナリオほうが現実的に思えます。それがいつになるかという話では、2017年ごろに国際収支が経常赤字になるという予測があり、それが契機になるという話が出ていますね。ところでハイパーインフレの定義って、月に50%でしたっけ? 年率では13000%。さすがにこんなにインフレになる状況は想像できないです。戦後の混乱期にもこんなにインフレになったことはありません。藤巻さんもさすがにこれほどのインフレ率は考えていないんじゃないですか? ハイパーインフレって言葉を使うときには注意した方がいいですよ。(2010/05/10)

偉そうにいってしまって申し訳ないのですが、もう少し勉強が必要でしょう。マクロ経済とか金利と為替の関係とかを全く無視した論点で、ちょっとあきれてしまいました。たしかに、市場経済は見放し気味で、日本の公的金融機関、特に日銀の責任は大きいです。問題点や方向性、円安誘導や郵貯の先祖返り反対もついては同意です。一方、その原因や全てを市場経済での意志に根ざす考え方は甚だ疑問です。どうして円高になるのか、郵貯はなぜ先祖返りを目指すのか、そのあたりが大事なポイントだと思います。そこには、市場経済を無視して自分たちの利益を追求する輩の意志が働いていることに他ならないのですから。また、ハイパーインフレという過激な言葉を簡単に用いるのも、問題です。ハイパーとは、通貨が何万倍もの数字になることであり、これには、通貨供給量だけではなり得ません。あくまで、供給不足が必要です。累積赤字についても内訳を記すべきでしょう。半分弱は国の借金ではないわけで、それこそ財務省の思惑です。こういう記事の書き方はまさに煽りであり、記事を読む人を間違った判断に導くことになります。財務省の思惑を反映した記事だと思えば、御用学者的で納得もしますね。しかし、それはまさに市場原理を無視したものと言えるでしょう。(2010/04/24)

国債未達発生の日が近い言いながら具体的な年月は全く書いていないのが首をひねります。そろそろこの様な記事を書く人はそこまで踏み込むべきではないでしょうか?実は全く分からないのでしょうか?それが答えならこの問題については理解していないのではないでしょうか。こういった中途半端な記事が最近多いと感じます。もう少し踏み込んだ検証をお願いします。(2010/04/22)

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